部下や家族に「効率」を求めてはいけない。あなたがいつまでも楽になれない決定的理由
「あの資料、できた?」 「お皿洗い、まだ終わってないの?」
人に仕事を頼んだものの、やり方が遅かったり、手順が悪かったりして、ついイライラしてしまう。 そして最後には、**「もういい、貸して! 自分でやった方が早い!」**と仕事を奪い取ってしまう……。
そんな経験はありませんか?
確かに、自分でやれば速いです。でも、それを続けている限り、あなたの時間は一生増えませんし、周りの人も育ちません。
この記事では、世界的名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士が提唱する**「正しい任せ方」**のルールについて解説します。
結論から言うと、あなたは**「自分」と「他人」で、目指すべきゴールを変える**必要があります。
このルールさえ守れば、ストレスなく人に仕事を任せられるようになり、あなたの自由な時間は劇的に増えるはずです。
全てを達成する道は2つしかない
まず、大前提として、私たちの時間は限られています。 どんなに優秀な人でも、1日は24時間しかありません。
やりたいこと、やるべきことをすべて達成するには、方法は2つしかありません。
- 自分でやる(自分の時間を使う)
- 人に任せる(他人の時間を使う)
この2つをどう組み合わせるかが鍵なのですが、多くの人はここで致命的なミスを犯します。 それは、「自分に求めるもの」と「他人に求めるもの」をごちゃ混ぜにしてしまうことです。
自分には「効率」、他人には「効果」
コヴィー博士は、この2つを明確に区別すべきだと説いています。
ここで大事なのは、自分の時間を使うときは効率性を考え、人に任せるときは効果性を考えることである。
これはどういうことでしょうか。
1. 自分でやる時は「マシーン」になれ(効率性)
自分の時間を使うときは、徹底的に**「効率(スピード・量)」**を追求してください。 「いかに速く、無駄なくやるか」。ショートカットキーを使い、移動時間を削り、分刻みでスケジュールをこなす。自分自身を高性能なロボットのように管理するのはOKです。
2. 人に任せる時は「ゴール」を見ろ(効果性)
しかし、これを他人に求めてはいけません。 人に任せるときに重要なのは、やり方の速さ(効率)ではなく、**「望んだ結果が出たかどうか(効果)」**です。
例えば、子供にお使いを頼むとします。
- × 効率を求める(ダメな任せ方) 「走って行って! 信号は小走りで! 3分以内に戻ってきて!」と、やり方やスピードを細かく指示する。 → 子供は窮屈でやる気をなくします。あなたも監視するのに疲れます。
- 〇 効果を求める(良い任せ方) 「夕食までに、カレー粉を買ってきてほしいんだ。頼めるかな?」と、結果だけを握る。 → 道草を食っても、少し遅くても、最終的にカレー粉が手に入ればOK(効果あり)とします。
「効率」を人に強要すると、関係が壊れる
「自分でやった方が早い病」の人は、他人にも自分と同じレベルの「効率」を求めてしまいます。
「なんでそんな非効率なやり方をしてるんだ!」 「もっとテキパキ動けないのか!」
こうやって相手のプロセス(やり方)に口を出しすぎること(マイクロマネジメント)は、相手を「信頼していない」と言っているのと同じです。 人間は、効率を追求されると「道具」扱いされたと感じ、反発します。
逆に、「やり方は君に任せるよ。期待しているのはこの結果だ」と**「効果(結果)」**にフォーカスして任せると、相手は信頼を感じ、創意工夫を始めます。
最初は時間がかかるかもしれません(非効率に見えるかもしれません)。 しかし、相手が育ち、自発的に動いてくれるようになれば、長期的にはあなたがいちいち指示しなくても仕事が回るという、最大の「効果」が得られるのです。
まとめ・アクションプラン
自分には厳しく、他人には結果を。この使い分けがリーダーシップの基本です。 今回のポイントは以下の3点です。
- 仕事をこなすには「自分でやる」か「人に任せる」かの2択しかない。
- 自分でやる時は、スピードと無駄の排除(効率性)を追求していい。
- 人に任せる時は、やり方には口を出さず、最終的な結果(効果性)だけを重視する。
Next Action
明日、誰かに仕事や家事を頼むときは、「やり方(How)」を指示するのをグッとこらえてみてください。
その代わり、**「どんな結果(Result)になっていればOKか」**だけを明確に伝えましょう。 「やり方は任せるよ」 その一言が、相手の責任感に火をつけ、あなたを忙しさから解放してくれる魔法の言葉になります。
この「デリゲーション(人に任せる技術)」については、**『7つの習慣』**の中で「使い走り」のデリゲーションと「全面委任」のデリゲーションの違いとして詳しく解説されています。 部下を持つ管理職の方や、子育て中の方にとっては、読むだけで肩の荷が下りるような内容が満載です。
