噂に流されず、自分の目で確かめる──『菜根譚』に学ぶ冷静な判断力
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Taka Knowledge Output
私たちはつい「もっと条件が整ったら」「準備が完璧になったら」と考えて、行動を先延ばしにしてしまいます。けれども、古代ローマ皇帝であり哲学者でもあったマルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう諭しています。
「キュウリが苦い? ならば捨てよ。道に茨がある? ならば避けよ。それで十分だ。不快なものの存在をなぜ思い悩むのか」
この言葉は、「世界は完璧ではなく、不快なものや障害があるのは当たり前。それを嘆くのではなく、どう対処するかに集中せよ」というメッセージです。
私たちが陥りやすいのは「完璧主義の罠」です。理想的な環境や条件が整うまで待つ。その結果、挑戦の機会を逃してしまい、何も変わらないまま時間だけが過ぎていきます。
マルクス・アウレリウスは「プラトンの理想国家を待ち望むな」と自身を戒めていました。つまり「世界が完璧に整うことを期待するな。目の前の現実に対処するのだ」ということです。
現代の哲学者ヨーゼフ・ピーパーも「物事の道理を知り、自分の置かれた状況も分かっている者は、一人でも立派な行いをすることができる」と述べています。これはストア派の考え方と重なります。
つまり、不完全であっても行動できる人こそが、本当の意味で強い人なのです。
世界は不完全で、思い通りには進みません。けれども、その現実を受け入れて行動することでこそ、人生は動き出します。マルクス・アウレリウスの言葉が教えてくれるのは、「完璧を期待するな。今を生かせ」というシンプルで力強い真理です。