聞き上手は「ノーガード戦法」でいけ。相手を操るつもりが操られる覚悟はありますか?
「人の悩みを聞いていたら、自分まで気分が落ち込んでしまった」 「相手の話を親身に聞いているつもりなのに、全然変わってくれない」
そんなふうに、コミュニケーションにおいて「疲れ」や「徒労感」を感じたことはありませんか?
実は、本気で相手の話を聞こうとすればするほど、そこには**「リスク」が伴います。 この記事では、世界的名著『7つの習慣』の核心部分である「共感による傾聴のリスクと、それを乗り越える力」**について解説します。
私は普段、リハビリの現場で患者さんの苦悩に耳を傾けていますが、中途半端な聞き方では患者さんの心は開きません。しかし、深く聞けば聞くほど、こちらも相手の痛みに巻き込まれる危険性があります。
結論をお伝えします。人を動かしたいなら、まずあなたが**「相手によって動かされる(影響を受ける)覚悟」**を持たなければなりません。 なぜリスクを冒してまで聞く必要があるのか、その真意を紐解いていきましょう。
なぜ「深く聴く」ことは危険なのか?
多くの人は、コミュニケーションを「言葉のキャッチボール」くらいに考えています。 しかし、コヴィー博士が提唱する「共感による傾聴」は、そんな生易しいものではありません。
それは、自分の心の防具を外し、相手を自分の内側に招き入れる行為です。
心を「ノーガード」にする怖さ
元の文章には**「自分自身が心を開くことによって、相手から影響を受けるからだ。傷つくこともあるだろう」**とあります。
相手の悲しみ、怒り、絶望。それらを「ふーん、大変だね」と他人事として処理するのではなく、「我がこと」として感じ取る。 これは、ウイルスが蔓延する部屋に、マスクなしで入っていくようなものです。当然、あなたも感染(影響を受ける・傷つく)するリスクがあります。
だからこそ、多くの人は無意識に「壁」を作り、適当に相槌を打って自分を守ろうとします。しかし、それでは相手の心の扉も閉ざされたままです。
「影響を与える」ための絶対条件
では、なぜわざわざ傷つくリスクを冒してまで、相手の話を聴く必要があるのでしょうか? それは、**「相手から影響を受けた人だけが、相手に影響を与えることができる」**という人間心理の鉄則があるからです。
医者と患者の関係
リハビリや医療の現場で例えてみましょう。
- ダメな医者(影響を受けない): 「はいはい、頭が痛いんですね。じゃあ薬出しておきます」 (患者の痛みに共感せず、一方的に処置する) → 患者は「本当にわかってるのか?」と不信感を抱き、アドバイスを聞かない。
- 名医(影響を受ける): 「それは辛いですね……。夜も眠れないほどの痛みなんですね」 (患者の苦しみを自分のことのように感じ取り、表情を曇らせる) → 患者は「この先生はわかってくれた」と信頼し、治療方針に従う。
相手の現状や感情を深く理解し、それによって自分の心も揺れ動く(影響を受ける)。 その姿勢を見せた時初めて、相手の心に**「心理的な空気」**が送り込まれ、「この人の言うことなら聞こう」という信頼が生まれるのです。
リスクに耐えうる「強い安定性」
とはいえ、毎回相手の感情に飲み込まれていては、あなたの身が持ちません。 そこで必要になるのが、元の文章にある**「強い安定性」**です。
「アンカー(錨)」を持つ
嵐の中で船(心)を安定させるには、重くて丈夫な錨(いかり)が必要です。 この錨となるのが、第1~第3の習慣で培った**「自分の中心(原則・価値観)」**です。
- 「私は何があっても誠実でありたい」
- 「相手の成長に貢献することが私のミッションだ」
この**「自分はどうありたいか」という軸**がしっかりしていれば、相手のネガティブな感情に触れて一時的に揺れたとしても、決して転覆することはありません。
逆に言えば、自分自身の軸がブレている人(精神的に不安定な人)は、共感による傾聴をするのは危険です。相手と一緒に倒れてしまうからです。 まずは「自分」を確立すること。それが、他者を深く理解するためのパスポートになります。
まとめ・アクションプラン
今回の記事では、真の傾聴に伴うリスクと覚悟について解説しました。要点は以下の3つです。
- 共感による傾聴とは、自分も傷つく可能性がある**「リスクある行為」**である。
- 相手を変えたいなら、まず自分が相手から**影響を受ける(理解する)**必要がある。
- 他人の感情に飲み込まれないためには、自分自身の**「強い安定性(軸)」**が不可欠である。
最後に、今日からできるアクションプランを提案します。
【Next Action】 今日、誰か(家族、同僚、友人)の話を聞くとき、アドバイスや評価を一切せず、**「3分間だけ、相手の感情をそのまま感じる」**ことに集中してみてください。
「それは辛かったね」「嬉しかったんだね」 自分の心をオープンにし、相手の感情を受け入れる。少し怖いかもしれませんが、その3分後、相手の表情が驚くほど柔らかくなっていることに気づくはずです。
