悩み相談に乗るのが疲れるあなたへ。相手に巻き込まれず、深く癒やす「共感」の技術
落ち込んでいる友人や家族に対して、励ますつもりでこんな言葉をかけていませんか? 「かわいそうに、辛かったね」 「わかるわかる、私にも同じ経験があるよ」
一見、優しさにあふれた言葉に見えます。 しかし、もし相手がこの言葉を聞いて、少しムッとしたり、逆にあなたにべったり依存してきたりしたなら、それは対応を間違えているかもしれません。
あなたは「共感」しているつもりで、実は**「同情」**してしまっているのです。
この記事では、『7つの習慣』でも特に混同されやすい**「共感と同情の違い」**について解説します。
私は医療(リハビリ)の現場にいますが、プロは患者さんに決して「同情」はしません。なぜなら、同情は患者さんを弱くしてしまうからです。 結論をお伝えします。 本当に相手を救いたいなら、「同意(ジャッジ)」を捨てて、「理解(観察)」に徹すること。 これができるようになれば、あなたは相手の感情に飲み込まれることなく、深い信頼関係を築けるようになります。
「かわいそう」は共感ではない
まず、多くの人が誤解している定義をはっきりさせましょう。
- 同情(Sympathy): 相手の感情に対して「私もそう思う(同意)」、「それはひどいね(判断)」と自分の感情を重ねること。
- 共感(Empathy): 相手の目線で世界を見て、「あなたはそう感じているんだね(理解)」と認識すること。
メガネを貸そうとしていませんか?
『7つの習慣』では、この違いを**「メガネ」**に例えることができます。 「目が悪くて辛い」と言う相手に、「このメガネを使いなよ、私はこれでよく見えるから(自分の経験の押し付け)」と言うのが同情です。
一方、共感とは、自分のメガネを外し、相手のメガネを借りてかけてみることです。 「ああ、君の目からは世界はこんなにぼやけて見えていたんだね」 そこには「良い・悪い」の判断も、「私の経験」も入りません。ただ、相手が見ている世界をそのまま追体験するのです。
同情は「麻薬」のような副作用がある
コヴィー博士はこう警告しています。 「同情されてばかりいたら、人は同情を当てにするようになり、依存心が強くなってしまう」
同情は「あなたが正しい、かわいそうだ」という同意を含みます。 これは言われた方にとっては気持ちいいものですが、同時に「私は被害者なんだ」という認識を強化してしまいます。
リハビリ現場で「同情」がNGな理由
もし私がリハビリ中の患者さんに、「痛いですよね、かわいそうに。無理して動かなくていいですよ」と同情したらどうなるでしょうか? 患者さんは私を好きになるかもしれませんが、「痛いから動かなくていいんだ」と甘え(依存心)が生じ、結果として足が動かなくなってしまいます。
プロの共感は違います。 「なるほど、足をこの角度にすると、電気が走るように痛むんですね(深い理解)」 痛みは否定しませんが、「動かなくていい」という同意もしません。 理解された患者さんは、「わかってもらえた」と安心し、自ら「じゃあ、どう動かせばいいかな?」と前を向く力(自立心)を取り戻すのです。
同意しなくても、理解はできる
ここが最も重要なポイントです。 **「相手の意見に反対であっても、共感(理解)することはできる」**のです。
例えば、子供が「学校に行きたくない」と言った時。
- 同情・同意: 「そうだね、行かなくていいよ(親の判断が入る)」
- 反論: 「甘えるな、行きなさい(親の判断が入る)」
- 共感: 「あなたは今、学校に行くのが辛いと感じているんだね(相手の気持ちを言葉にする)」
まずは「学校に行きたくない」という子供のパラダイム(見方)を100%理解する。 アドバイスや指導をするのは、完全に理解し、信頼関係ができてからです。 「診断(共感)なくして処方箋(アドバイス)なし」。これが鉄則です。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 同情は「私」の感情や判断が入った同意であり、相手を依存させるリスクがある。
- 共感は「相手」の視点に立ち、相手が見ている世界や感情を深く理解することである。
- 相手を救うのは「かわいそうだね」という慰めではなく、「あなたの苦しさを理解したよ」という深い受容である。
【Next Action:読者が次に取るべき行動】
次に誰かから愚痴や悩みを相談された時、「自分の意見(アドバイス・励まし・自身の体験談)」を言うのをグッとこらえてください。
そして、ただ一言。 「そっか、あなたは今、そういう風に感じているんだね」 と、相手の感情を鏡のように映し返してみてください。
「そうなの! わかってくれる?」と相手の表情が明るくなったら、それが本当の共感です。 この「共感による傾聴」の技術は、『7つの習慣』の第5の習慣で詳しく学べます。人間関係の悩みの9割を解決するパワーを持っています。
