「手に入れる」より「楽しむ」──ローガン・スミスが教える、人生の本当の目標
現代社会では、「成功とは何か」「幸せとは何か」という問いが
これまで以上に複雑になっています。
多くの人が「もっと収入を」「もっと地位を」と努力を重ね、
手に入れることに全力を注いでいます。
けれども、手に入れた後に幸せを感じられない人が、
少なくないのもまた現実です。
この永遠のテーマに対して、イギリスの批評家ローガン・スミスは
たった一文で核心を突いています。
■ 「人生でめざすべきことは、ふたつある」
「人生でめざすべきことはふたつある。
まず、ほしいものを手に入れ、次にそれを存分に楽しむことだ。
ふたつ目の目標を達成できるのは非常に利口な人だけだ。」
デール・カーネギーはこの言葉を「けだし名言である」と紹介しました。
この短い一文には、幸福の本質が凝縮されています。
■ 「手に入れる」ことは誰にでもできる
現代は、かつてないほど多くのチャンスに満ちた時代です。
努力や工夫次第で、誰もがある程度の成果を手に入れられるようになりました。
仕事で成果を出す、資格を取る、理想の家を買う──。
それらは間違いなく努力の証です。
しかし、問題はそのあとです。
「手に入れた後、それを心から楽しめているか?」
そこに、幸せの分かれ道があります。
■ 「楽しむ力」がないと、成功は空っぽになる
人間は、欲しいものを手に入れると、それを“当たり前”だと感じてしまいます。
心理学ではこれを「快楽順応(ヘドニック・トレッドミル)」と呼びます。
- 昇進しても、しばらくすると慣れてしまう
- 新しい家や車を買っても、次の目標が欲しくなる
- 成功しても、心の満足感が長続きしない
これは、人の脳が「今ある幸せ」に慣れてしまう仕組みを持っているからです。
だからこそ、“楽しむ力”を意識的に育てなければ、
どれだけ成功しても心は満たされません。
■ 「楽しむ」ことは才能ではなく、意識の習慣
ローガン・スミスの言葉が示す「非常に利口な人」とは、
自分の人生を意識して味わう人のことです。
楽しむ力は、特別な才能ではありません。
それは日々の「感謝」と「意識の向け方」で誰にでも育てられます。
たとえば、次のような小さな習慣が鍵になります。
- 朝のコーヒーを味わって飲む
- 家族との時間にスマホを置く
- 仕事の成果を自分でしっかり認める
- 今の環境の中で「ありがたい」と思えることを探す
こうした瞬間を積み重ねることで、
“生きていること自体を楽しむ力”が少しずつ育っていきます。
■ 「もっと欲しい」ではなく、「これで十分」と思える勇気
現代は「もっと上へ」と競争を促す社会です。
SNSを見れば、他人の成功や豊かさが目に入ってきます。
しかし、ローガン・スミスの言葉が教えてくれるのは、
「楽しむことを忘れた成功は、不幸と変わらない」
という現実です。
“満足すること”は、あきらめではなく、精神的な成熟の証です。
他人と比べず、自分の幸せを感じ取れる人こそ、
本当の意味で「利口な人」なのです。
■ 「楽しむ」を意識するだけで、人生の景色が変わる
私たちはしばしば、「幸せになりたい」と願います。
けれども、よく考えてみれば、その幸せはすでに目の前にあるのかもしれません。
- 今日も無事に目が覚めた
- 食事ができる
- 誰かと会話できる
- 好きな音楽が聴ける
それらを「当たり前」と思うか、「ありがたい」と感じるかで、
人生の質は大きく変わります。
■ まとめ:幸福とは「今を楽しむ知恵」
- 人生の目的は「手に入れる」ことではなく「楽しむ」こと
- 幸せは未来ではなく、いま感じるもの
- 感謝と意識の習慣が、“楽しむ力”を育てる
デール・カーネギーが『道は開ける』でこの言葉を紹介したのは、
**「幸福とは努力の先にある結果ではなく、今この瞬間に見いだす態度」**だからです。
ローガン・スミスの名言は、短くても強い真理を語ります。
「ほしいものを手に入れ、それを心から楽しめる人。」
その二つを両立できる人こそ、人生を本当に豊かに生きる“利口な人”なのです。
