万物は流転する|マルクス・アウレリウスとヘラクレイトスに学ぶ「変化を受け入れる力」
「存在するものも生まれようとしているものも、瞬く間に過ぎ去り消えていくことを、折にふれ考えるがよい。存在とは絶えざる川の流れのようであり、その活動は変化し続け、果てしなく変転を遂げる。そのため、静止しているものはほとんどないのだ」
これは、ローマ皇帝 マルクス・アウレリウスの『自省録』に記された一節です。
彼が用いた「川の流れ」という比喩は、古代ギリシャの哲学者 ヘラクレイトスから借りたものです。
ヘラクレイトスはこう語りました。
「人は同じ川に二度入ることはできない。」
川は絶え間なく流れ、姿を変えていく。私たち人間も同じく、常に変化の中に生きています。
人生は「変化」そのものである
私たちが日常で経験する喜びも苦しみも、すべては移ろいゆくものです。
しかし、多くの人は「この状態がずっと続く」と錯覚するために、不安や怒りに囚われます。
- 苦しい状況が「永遠に続く」と思えば絶望する。
- 幸せな状態が「ずっと続く」と思えば執着し、不安になる。
けれども、マルクス・アウレリウスが説くように、世の中に静止しているものはほとんど存在しません。
人生そのものが川の流れのように変化し続けているからです。
変化に抵抗する心が苦しみを生む
変化に腹を立てたり、人を責めたりするのはなぜでしょうか。
それは「自分の力で変化を止められる」と錯覚するからです。
- 職場の環境が変わること
- 人間関係の距離感が変わること
- 健康状態や体力が変わっていくこと
こうした変化は避けられません。しかし、それを「変わるべきではない」と思うと、苦しみが生まれます。
逆に、変化を自然の流れとして受け入れれば、心は軽くなるのです。
「万物は流転する」を生き方に取り入れる方法
では、この哲学を私たちの生活にどう応用できるでしょうか。
- 出来事を「一時的なもの」と捉える
うまくいかない日も「これも流れていく」と考えれば、気持ちが軽くなります。 - 変化を成長のきっかけとみなす
新しい環境や挑戦は不安を伴いますが、同時に自分を広げる機会でもあります。 - 執着を手放す練習をする
「ずっと続いてほしい」と思う幸せにしがみつくと不安が増します。「この瞬間を味わおう」と切り替えることが大切です。 - 小さな「流れ」を観察する
季節の移ろい、日々の体調の変化、人との関係の微妙な変化に気づくことで、「変化は自然なことだ」と受け入れやすくなります。
川の流れに身を委ねる
変化を受け入れることは、あきらめることではありません。
それはむしろ、川の流れに逆らうのではなく、その流れに乗って進むことです。
マルクス・アウレリウスやヘラクレイトスが伝えたように、万物は流転します。
だからこそ、変化を恐れるのではなく、その流れを利用して次のステップへ進むことができます。
まとめ
人生における唯一の不変は「変化」です。
私たちが苦しむのは、変化そのものではなく、変化に抵抗しようとする心です。
マルクス・アウレリウスの言葉を思い出しましょう。
「存在とは絶えざる川の流れのようであり、その活動は変化し続ける。」
あなたも今日から、変化を受け入れる練習をしてみませんか?
「万物は流転する」と知ることが、心を自由にし、人生をより豊かにしてくれるはずです。
