「天にまかせよ」―すべてをコントロールしようとする心を手放すと、人生はうまく回り出す
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Taka Knowledge Output
セネカは『生の短さについて』の中でこう書きました。
「いいかね、穀物市場の収支を知るよりも、自分の生の収支を知るほうが大切なのだ。」
この言葉は、私たちがどんな分野で「専門家」になるべきかを問いかけています。
現代人は驚くほど多様な分野で専門知識を身につけています。
これらは決して無駄ではありません。知識を楽しむことは人間の喜びです。
しかし一方で、もっと大切な「自分の生活」については、意外に無関心なことが多いのではないでしょうか。
セネカがこの戒めを書いた相手は、彼の義父であり、当時ローマの穀物庫を管理する重職にあった人物でした。やがて彼は政治的な理由からその職を解かれますが、セネカはこう励まします。
「それがいったいどうしたのか。これでようやく内面の探求に力を注げるようになったではないか。」
つまり、外部の役職や知識にしがみつくより、自分の生を理解するほうがはるかに重要だと説いたのです。
ここで問い直してみましょう。
答えは明らかです。
セネカが伝えたかったのは、
「人生の収支を知らないまま、他のことばかり詳しくなっても意味がない」
ということです。
外の知識や情報に精通するのは素晴らしいことですが、最終的に最も大切なのは「自分の生を理解する専門家になること」。
その探求こそが、幸福や意味ある人生につながるのです。