筋攣縮と筋短縮の違いを理解する:理学療法士が押さえておきたい臨床的視点
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Taka Knowledge Output
筋膜(fascia)は、長らく「補助的な結合組織」と考えられてきました。しかし、近年その重要性が改めて注目されています。従来から知られている役割は次の4つです。
最近の研究では、筋膜が**創傷治癒(wound healing)**に積極的に関与していることが分かってきました。
つまり、筋膜は「ただの覆い」ではなく、組織損傷に対して能動的に修復機能を果たす組織であることが明らかになっています。
「筋膜は痛みを感じるのか?」という問いに対し、2011年にTesarzらが行った研究が重要な証拠を提示しました。
さらに、筋膜に炎症を起こすと:
👉 これは、臨床でよく経験する「局所の炎症なのに広範囲に痛みが広がる」現象を説明する重要な知見です。
下腿筋膜を対象とした研究では、筋膜に自由神経終末が分布していることが確認されました。
このことから、筋膜は「侵害刺激に敏感に反応する組織」であり、筋膜リリースやハイドロリリースが疼痛軽減に有効である根拠のひとつといえます。
筋膜は従来の「受動的な構造物」という理解を超えて、次のような積極的役割を担っています。
臨床で筋膜にアプローチする意義は、まさにここにあります。
筋膜を理解することは、筋筋膜性疼痛の治療・運動療法・手技療法の質を高めるための鍵になるでしょう。