その悩み、構うから大きくなるんです。「問題を餓死させる」という驚きの発想
「またクレーム対応だ……」 「どうして私の人生、悪いことばかり起きるんだろう」
毎日次から次へとやってくる**「問題」**の対処に追われて、夕方にはぐったり疲れていませんか?
実は、うまくいかない人ほど「問題を解決しよう」と必死になり、うまくいっている人ほど「問題は一旦置いておこう」と考えます。
理学療法士として多くの患者さんを見ていると、回復が早い人には特徴があります。それは、「痛い足(問題)」をどうするか悩むよりも、「元気な手(機会)」を使って何ができるかを楽しんでいる人です。
この記事では、コヴィー博士やドラッカーが提唱する**「機会に餌(えさ)を与え、問題を飢えさせる」**という思考法について解説します。
結論をお伝えします。 問題は、構えば構うほど大きく育ってしまいます。 ネガティブな問題に食事を与えるのをやめて、ポジティブな機会に栄養を注ぐこと。 これが人生を好転させる唯一のルールです。
「マイナスをゼロ」にするか、「ゼロをプラス」にするか
まず、私たちが陥りがちな罠について整理しましょう。
効果的な人々は「問題ではなく機会に着目する」のである。
仕事でも私生活でも、私たちは**「問題(マイナスの状態)」**を見つけるのが得意です。
- 「売上が落ちた(マイナス)」→ 元に戻さなきゃ。
- 「部下がミスをした(マイナス)」→ 叱って直さなきゃ。
- 「膝が痛い(マイナス)」→ 痛みを消さなきゃ。
これらは全て「マイナスをゼロに戻す作業」です。 もちろん必要ですが、こればかりやっていても、**「現状維持」**にしかなりません。しかも、精神的には非常に消耗します。
一方、成功する人が見ているのは**「機会(プラスの可能性)」**です。
- 「新商品が意外と若者にウケている(機会)」→ ここをもっと伸ばそう!
- 「この部下は計算だけは速いな(機会)」→ 分析の仕事を任せてみよう!
マイナスを埋めるのではなく、「今あるプラスをさらに伸ばす」。 この思考に切り替えるだけで、仕事は「苦役」から「ワクワクする挑戦」に変わります。
「餌(エネルギー)」を注ぐ場所を変える
非常に面白い表現があります。
機会に餌を与え、問題を飢えさせるのだ。
私たちの時間やエネルギーは、**「餌(えさ)」**のようなものです。 あなたが注目し、時間をかけたものが、大きく育っていきます。
嫌いな上司に餌をやっていないか?
例えば、職場に嫌いな上司(問題)がいるとします。 家に帰ってからも、飲み会でも、寝る前にも、「あいつ本当にムカつく!」と上司の悪口を言っていませんか?
これは、嫌いな上司というモンスターに、せっせと高級な餌(あなたの貴重な時間)を与えて、あなたの脳内で巨大化させているのと同じです。 餌をもらった問題は、ますます元気になり、あなたの人生を支配します。
逆に、「問題を飢えさせる」とは、**「無視する(反応しない)」**ことです。 「まあ、そういう人もいるよね」とスルーして、餌やりをストップする。すると、その問題はあなたの心の中でどんどん痩せ細り、やがて気にならなくなります。
リハビリ現場で見る「機会思考」の奇跡
医療の現場でも、この思考法は劇的な効果を生みます。
「膝が痛くて歩けない(問題)」と嘆く患者さんに、私たちはこう問いかけます。 「でも、手は元気ですよね? お口も元気ですよね?(機会)」
膝の痛み(問題)に餌をやるのをやめて、 「手を使って絵を描く」「おしゃべりで周りを明るくする」といった**残された機能(機会)**に全力で餌を与え始めると、不思議なことが起きます。
人生に楽しみが生まれ、脳内ホルモンが活性化し、結果的に**膝の痛みまで消えてしまう(問題が餓死する)**ことがあるのです。
「悪いところ」を治そうとするより、「良いところ」を伸ばしたほうが、結果的に全てが上手くいく。これが生命の原則です。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 問題解決(マイナス→ゼロ)ばかりでは、疲弊するだけで成長はない。
- 私たちの意識(時間)は「餌」である。問題を考えれば考えるほど、問題は巨大化する。
- 意識的に「機会(プラス)」に餌をやることで、人生は好転し、問題は自然消滅する。
今日から、心の中のペットを変えてみましょう。 「悩み」というモンスターを飼うのはやめて、「希望」という植物に水をやってください。
Next Action:日報の順番を変える
今日の日記や仕事の日報を書く時、次のルールを守ってみてください。
「反省点(問題)」を書く前に、必ず「今日うまくいったこと(機会)」を3つ先に書く。
「挨拶が元気よくできた」「書類作成が5分早く終わった」。 どんなに小さなことでも構いません。 まず**「機会」**に餌を与える癖をつけること。それだけで、明日への活力が湧いてくるはずです。
