なぜ「やりたいこと」が見つかると涙が出るのか?視点が「今日」から「一生」に変わる瞬間
「毎日の生活に追われて、自分がどこに向かっているのかわからない」 「『本当にやりたいこと』を探しているけれど、しっくりこない」
そんなふうに、人生の迷子になっていませんか?
実は、自分の人生について本気で考え抜いた時、そこには言葉では言い表せない**「静かな衝撃」**が待っています。
理学療法士として、大病を患い「死」を意識した患者さんと接していると、ある瞬間からガラリと雰囲気が変わることがあります。それは、その人が「残りの人生で何をすべきか」を悟った瞬間です。その姿は、見ていて背筋が伸びるほど美しいものです。
この記事では、コヴィー博士が語る**「自分を知ることの神聖さ」と「視点の変化」**について解説します。
結論をお伝えします。 自分と向き合うことは、怖いことではありません。 それは、あなたの人生を「消化試合」から「使命」へと変える、最も尊い儀式なのです。
自分の「核」に触れる時、人は謙虚になる
コヴィー博士は、自己探求のプロセスについて、次のように表現しています。
自分の人生にとって一番大切なことは何か、どのような人間になりたいのか、本当にやりたいことは何かを真剣に考え、本気で知ろうとした人は皆、必ず敬虔(けいけん)な気持ちになる。
「敬虔な気持ち」とは、神仏や尊いものに対して、深く敬い慎む気持ちのことです。
なぜ、自分のことを考えているのに、そんな気持ちになるのでしょうか? それは、自分の奥底にある**「良心」や「潜在能力」の大きさ**に触れるからです。
宇宙を見るような感覚
普段、私たちは「今日のランチは何にしよう」「上司に怒られないかな」といった、表面的な思考で生きています。 しかし、本気で「私は何のために生まれてきたのか?」と問いかけていくと、思考はどんどん深く潜っていきます。
そこで出会うのは、欲求や損得ではありません。 「家族を守りたい」「誰かの役に立ちたい」「美しいものを作りたい」という、純粋で力強い**「源泉」**です。
自分の中にこんなにも美しいものがあったのか。 それに気づいた時、人は自分自身という存在に対して、畏敬の念(敬虔な気持ち)を抱かずにはいられないのです。
「近視眼」から「望遠鏡」へ
そして、その深い自己対話は、時間の感覚を一変させます。
今日や明日のことだけでなく、より長期的なことを考え始める。
私たちは普段、**「近視眼(目の前のことしか見えない状態)」**で生きています。 「明日までにこの書類やらなきゃ」「今月の支払いが……」
しかし、自分の「核」に触れた人は、**「望遠鏡(遠くを見る目)」**を手に入れます。
- 「今月の給料(今日)」よりも、「10年後の自分のスキル(長期)」を考える。
- 「今の快楽(今日)」よりも、「死ぬ時に残る思い出(長期)」を優先する。
リハビリ現場で見る「視座の転換」
リハビリでも、この変化は顕著です。 最初は「痛いから動きたくない(今日の視点)」と言っていた患者さんが、自分の役割を思い出した瞬間、「孫の成人式に出るまでは死ねない(長期の視点)」と言って、痛みを乗り越えて歩き始めます。
長期的な視点を持つとは、「未来の自分」から「今の自分」を励ますことができるということです。 この視座を手に入れた人は、少々のトラブルでは動じなくなります。
答えはスマホの中にはない
現代人は、わからないことがあるとすぐにスマホで検索します。 「やりたいこと 見つけ方」「おすすめの人生」……。
しかし、あなたの人生にとって一番大切なことは、Googleには載っていません。 それは、あなた自身の内側を掘り進めた先にしか埋まっていないのです。
誰かの真似ではなく、流行りでもなく、あなただけの答え。 それを見つける作業は、泥臭くて、孤独で、そして何よりも神聖な時間です。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 人生の目的を本気で考えると、自分自身の奥深さに触れ、敬虔な気持ちになる。
- その時、視点は「今日明日の損得」から「人生全体の使命」へと劇的に変化する。
- 答えは外(ネット)にはない。静寂の中で自分と対話する時間だけが教えてくれる。
もし今、あなたが将来に不安を感じているなら、それは**「もっと遠くを見なさい」**というサインです。 足元の石ころにつまずくのを恐れるのではなく、遠くの山頂を見つめてみてください。
Next Action:デジタル・デトックスの1時間
今度の休日、スマホを置いて、テレビも消して、**1時間だけ「完全な静寂」**を作ってみてください。
ノートを一冊用意し、一番上にこう書きます。
「もし、余命があと1年だとしたら、私は何を残したいか?」
最初は何も書けないかもしれません。それでもいいのです。 その静けさと向き合い、自分の心に耳を澄ませようとする態度そのものが、あなたの人生に「深み」をもたらしてくれます。
