財政支出が経済成長を押し上げる理由
進まぬ成長と増税のジレンマ
日本の財政状態は国際的に見ても厳しい水準にあり、国際機関は財政健全化のため消費税を20%前後まで引き上げるべきだと提言している。しかし一方で、過去のデータが示すように、消費増税はその都度、家計の消費を冷やし、景気後退の引き金となってきた。
消費税とは「消費額×税率」であるため、税率が上がっても消費額そのものが落ち込めば、税収はむしろ伸びない可能性がある。この構造的な矛盾こそが、日本経済が向き合う最大の課題だといえる。
経済成長が鍵を握る
では、税収を安定させつつ経済を持続させるためには何が必要なのか。最も明確な答えは「経済を成長させること」である。GDPの約6割が消費で構成される日本では、経済成長こそが消費を押し上げ、結果として税収も増えていく。
しかし、少子高齢化と人口減少が進む日本では、高い自律的成長は期待しにくい。だからこそ、政府の役割が問われる局面にあるといえる。
OECD36カ国が示す相関関係
この点を理解する上で参考になるのが、OECD加盟36カ国の2002〜2018年のデータである。名目GDP成長率と政府支出の伸び率をプロットすると、点は右肩上がりに並び、両者には非常に強い相関が見られる。
つまり、政府が支出を増やした国ほどGDPも伸びており、「財政支出が経済成長を押し上げる」という傾向がデータとして確認できる。これが経済学でいう「乗数効果」であり、政府が支出を増やすことで家計の消費や企業の投資が誘発され、経済全体が拡大していく仕組みである。
成長できなかった日本の位置
このグラフで特筆すべきは、日本がプロット上の左下――つまり「政府支出の伸びもGDPの成長も最も低い国」として位置している点だ。
日本は長年にわたり財政健全化を優先し、支出を抑制し続けてきた。その結果、経済は伸び悩み、消費も増えず、成長率は主要先進国の中でも低水準にとどまった。
一方、日本の右側にはギリシャやイタリアといった財政不安が語られる国々が並ぶ。これらの国もまた政府支出を削る「緊縮財政」を続け、経済の低迷に苦しんだ国々である。
緊縮がもたらす停滞の構図
このデータから読み取れるのは、財政を引き締める緊縮路線が成長を阻害するという構図である。支出を減らせば確かに赤字は抑えられるが、それに伴いGDPが伸びず、結果的に税収も増えない。
日本が直面している問題は、経済成長を促す財政支出と、債務削減を重視する緊縮のバランスが崩れている点にあるといえる。
財政支出を増やすことで成長が見込めるのなら、日本はどのような形で支出を拡大し、どの分野に投資すべきなのか。その答えを探ることが、これからの政策判断において不可欠だといえる。
