自己啓発

ロゴスに従う──ストア哲学が教える宇宙の流れとの調和

taka

ロゴスとは何か

マルクス・アウレリウスは『自省録』で次のように述べています。

「何事も理性に従う者は、ゆったりと構えながら、いざとなれば迅速に活動する――落ち着きと快活さを兼ね備えているのである」

ストア派がいう「理性」とは、個人の理性にとどまらず、宇宙全体を導く普遍的な理性を指します。彼らはこれを「ロゴス」と呼び、すべての出来事はロゴスによって秩序づけられていると考えました。

ロゴスは、私たちに欲しいものを与えることもあれば、望まないものを与えることもあります。しかし、いずれにしてもそれは宇宙の理にかなった出来事なのです。

犬と台車の比喩

ロゴスに従う態度を説明するのに有名な比喩があります。

私たちを「台車につながれた犬」に例えるのです。台車はがらがらと決められた進路を進んでいきます。犬はひもで結ばれており、前に進むことは避けられません。自分の意志で台車に合わせて歩くのか、それとも引きずられていくのか──その選択だけが犬に残されています。

この比喩が示すのは、私たちもまた運命や出来事の流れを完全に止めることはできないということです。であれば、嫌々従うよりも、喜んで受け入れたほうが心は軽やかになるのです。

ロゴスに従うとは「抵抗しない」こと

ストア派が説くのは、盲目的な諦めではなく「抵抗しない知恵」です。避けられない出来事に無駄なエネルギーを費やすよりも、それを受け入れ、自分がコントロールできる範囲に力を注ぐ。この切り替えこそが、ストア哲学の実践なのです。

ロゴスに従う人は、外の世界に翻弄されず、心の落ち着きを保ちながら、必要なときには迅速に行動できます。その姿は、まさに「ゆったりと構えながら快活に生きる」ことの体現です。

現代に活かす3つの実践

  1. 避けられないことを受け入れる:突然の雨や交通渋滞、他人の態度など、コントロールできないことには抗わず、自然に受け止める。
  2. コントロールできることに集中する:自分の判断や態度、努力の仕方にエネルギーを注ぐ。
  3. 抵抗を手放す練習をする:「なぜ自分がこんな目に」と考える代わりに、「これはロゴスの流れだ」と意識してみる。

喜んで歩む犬になる

台車につながれた犬の比喩を思い出してください。運命の台車は必ず前に進みます。ならば、引きずられる犬ではなく、喜んで一緒に歩く犬になりたいものです。

ロゴスに従うとは、宇宙の流れに逆らわず、その中で自分の最善を尽くすこと。そうすることで、困難な状況でも心の平穏を保ちながら、生き生きと行動できるようになります。

まとめ

ストア哲学の核心である「ロゴスに従う」という姿勢は、現代においても強力な指針となります。避けられない出来事を受け入れ、自分にできる最善を尽くす。このバランスが取れたとき、私たちは落ち着きと快活さを兼ね備えた生き方に近づけるのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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