「最初の100が最も難しい」──フランクリンに学ぶ、お金が増えるシンプルな法則
「最初の100ポンドを手に入れれば、次の100ポンドはもっと簡単に手に入る。」
ベンジャミン・フランクリンは『自伝』の中で、そう語っています。
この言葉は単なる経験則ではなく、経済の本質を突いた洞察です。
お金は、ある段階を超えると“ひとりでに増えていく”性質を持つ。
フランクリンは、自らの印刷業を通して、その真理を実体験として確信していったのです。
■お金は「働く仲間」である
フランクリンの事業は、新聞発行と印刷業で成功を収め、ペンシルヴァニア周辺では競合がいないほどの規模に成長していました。
しかし、彼の真の成功の鍵は「仕組み化」にありました。
お金を使って設備を整え、従業員を雇い、流通を拡大する。
つまり、お金自身を“働かせる”発想を持っていたのです。
彼はこうして学びました。
「お金は、それ自体が増殖する性格を持っている。」
現代で言うところの「複利」や「再投資」の考え方です。
最初の100ポンドを貯めるまでは時間がかかる。
しかし、その資金を元手にビジネスを回し始めれば、次の100はより早く手に入る。
お金は、努力の代わりに“時間を働かせる”存在に変わるのです。
■「最初の100」を作るのが最も難しい理由
フランクリンが説いた「最初の100ポンド」は、現代に置き換えれば「最初の100万円」「最初の投資資金」とも言えます。
多くの人がこの“第一歩”でつまずくのは、まだお金が「自分の代わりに働く状態」に達していないからです。
最初の資金づくりには、節約・努力・我慢といった地道な行動が必要です。
しかし、そこを乗り越えると、状況は一変します。
貯めたお金が利益を生み、その利益がさらにお金を生む。
これが、フランクリンが体得した「お金が増えるリズム」です。
そしてこの考え方は、後の経済思想家や投資家にも受け継がれています。
17世紀の哲学者フランシス・ベーコンも同様に、「お金は自ら増殖する」と述べています。
つまり、これは300年以上前から変わらない、普遍の金融原理なのです。
■努力を「仕組み」に変えるという発想
フランクリンは、単に働いて稼ぐだけでなく、**“自分がいなくても利益が回る構造”**を築くことを重視していました。
それが新聞事業であり、印刷ネットワークの拡大でした。
現代でも、時間的・労働的な限界を超えるには、同じ発想が必要です。
- 投資や副業での自動収益化
- デジタル資産やコンテンツ販売
- 人材育成や仕組みの整備
こうした“自分が働かなくてもお金が働く状態”を作ることが、長期的な安定と自由を生みます。
フランクリンはそれを、18世紀の実業家としてすでに実践していたのです。
■お金を「信頼」で回す力
もう一つ、フランクリンが成功した理由は、誠実さと信用にあります。
彼は借金を着実に返済し、信頼を積み上げることで、資金を回すチャンスを得ました。
お金が増える仕組みは、単なる経済原理ではなく、**「信用の循環」**によって支えられています。
信用がある人には、協力者も資金も自然と集まる。
フランクリンが言う「お金がひとりでに増える」とは、実は“信頼が富を呼ぶ”という人間関係の法則でもあるのです。
■まとめ:お金は「努力の報酬」ではなく、「思考の結果」
フランクリンの人生は、勤勉・倹約・誠実という土台の上に築かれています。
しかし彼が最終的にたどり着いたのは、「お金は思考と仕組みで増える」という真理でした。
最初の100を作るまでは汗と努力。
しかし、その後は知恵と信用が資産を育てる。
このバランスを理解した人こそ、真に豊かになれるのです。
フランクリンの言葉を、今日の私たちに置き換えればこうなるでしょう。
「最初の100時間は働いて稼げ。
その次の100時間は、仕組みを作れ。」
お金は、正しく使えば人生の味方になります。
そしてそれは、今この瞬間の“最初の一歩”から始まるのです。
