あなたは「パブロフの犬」ですか?感情に振り回されない人が持っている“停止ボタン”の話。
理不尽な上司、突然の雨、景気の悪化、あるいは体の痛み……。 生きていれば、避けられない「嫌な出来事」は必ず起こります。
そんな時、反射的にイライラしたり、落ち込んだりして、「なんで自分ばかりこんな目に遭うんだ」と悩み続けていませんか?
実は、世界的な名著『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーは、私たち人間にだけ許された**「究極の自由」**について語っています。
それは、**「何が起きようとも(刺激)、それをどう受け止めるか(反応)は、100%自分で選べる」**という事実です。
私は理学療法士としてリハビリに関わっていますが、同じ怪我(刺激)を負っても、「もうダメだ」と嘆く人と、「これを機に体を鍛え直そう」と燃える人(反応)がいます。この違いが、その後の人生を決定づけます。
この記事では、環境や他人に振り回されず、自分の心の主導権を握るための最強の思考法を解説します。 結論を言えば、あなたの心の中に**「一時停止ボタン」**を作るだけで、人生は驚くほど生きやすくなるのです。
人間は「パブロフの犬」ではない
有名な「パブロフの犬」の実験をご存知でしょうか? ベルが鳴る(刺激)と、条件反射でよだれが出る(反応)。動物は、刺激に対して本能のまま即座に反応するようにプログラムされています。
しかし、コヴィー博士はこう言います。
自分の身に起こること、すなわち受ける刺激と、それに対する反応との間には、反応を選択する自由もしくは能力があるのだ。
人間と動物の決定的な違い。それは、「刺激」と「反応」の間に、自分で考え、選ぶための「隙間(スペース)」があるということです。
殴られたら、殴り返すしかないのか?
例えば、誰かに悪口を言われたとします(刺激)。
- 動物的な反応: カッとなって言い返す。あるいは、落ち込んで泣く。(本能のまま)
- 人間的な選択(自由): 一呼吸置いて、「この人は疲れているんだな」とスルーする。あるいは、「貴重な意見だ」と冷静に受け止める。
私たちは、ロボットのように「悪口ボタン」を押されたら「怒り」を出力する機械ではありません。 どんなにひどい仕打ちを受けても、「傷つくかどうか」の最終決定権は、あなた自身が握っているのです。
最強の武器「一時停止ボタン」を持とう
では、どうすればこの「選ぶ能力」を発揮できるのでしょうか。 イメージしてほしいのは、心のリモコンにある**「一時停止ボタン」**です。
嫌なことが起きた瞬間、カッとなる前に、心の中で「ピッ」と一時停止ボタンを押してください。
リハビリ現場での「選択」の実例
私が担当した患者さんで、事故で足に障害が残った方がいました。 「障害が残った」というのは、変えられない事実(強烈な刺激)です。
しかし、彼は一時停止ボタンを押し、考えました。 「足を失った被害者として生きるか? それとも、この経験を伝える講演者として生きるか?」
彼は後者を選びました。 「事実は変えられないが、意味づけは変えられる」 これが、コヴィー博士の言う「主体性(プロアクティブ)」の正体です。
誰もあなたの許可なく、あなたを不幸にはできない
かつてのアメリカ大統領夫人、エレノア・ルーズベルトもこう言いました。 「あなたの許可なくして、誰もあなたを傷つけることはできない」
上司がどれだけ怒鳴ろうと、経済がどれだけ悪化しようと、それは「外の出来事」に過ぎません。 それを「不幸だ」と決めて、心を痛める許可を出しているのは、実はあなた自身なのです。
今日から、「私は怒らされた」と言うのをやめましょう。 代わりに、**「私は、怒るという反応を選択した」**と言い換えてみてください。 言葉を変えるだけで、自分が状況の被害者ではなく、支配者であることに気づくはずです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 動物は刺激に即反応するが、人間には刺激と反応の間に「選択の自由(スペース)」がある。
- どんなひどい出来事(刺激)も、あなたの感情(反応)を強制的に決定することはできない。
- 「一時停止ボタン」を押し、自分の反応を自分で選ぶことが、主体的であるということ。
Next Action:深呼吸で「スペース」を作る
明日、何かイラッとする出来事(電車が遅れる、子供がぐずる等)が起きたら、すぐに反応せずに**「深呼吸を1回」**してください。
その数秒間が、あなたが人間としての自由を行使する「スペース」になります。 「さて、私はこの状況で、イライラすることを選ぶか? それとも余裕を持つことを選ぶか?」と自分に問いかけてみましょう。
この「主体性」という第1の習慣は、残り6つの習慣すべての土台となる最も重要な概念です。 人生のハンドルを自分の手に取り戻したい方は、ぜひ**『7つの習慣』**を熟読し、この自由の感覚をマスターしてください。
