感情をコントロールできない…それは性格のせいじゃない。「選択の自由」を取り戻す思考法
「売り言葉に買い言葉で、つい酷いことを言ってしまった」 「雨が降っただけで、一日中気分が落ち込んでしまう」
このように、周りの出来事や他人の言動(刺激)に振り回されて、自分の感情(反応)をコントロールできずにお悩みではありませんか?
実は、直感的に反応してしまうのは動物的な本能ですが、私たち人間にはそれを回避する「最強の機能」が備わっています。
この記事では、『7つの習慣』の著者コヴィー博士が提唱する**「刺激と反応の間にある選択の自由」と、それを支える「4つの能力」**について解説します。 理学療法士として人体の仕組みを学ぶ中でも、「膝蓋腱反射(叩かれたら勝手に足が動く)」のような反射と、人間が意志を持って行う「行動」は全く別物です。
結論をお伝えします。あなたはロボットではありません。どんなに強い刺激がきても、その後の行動(反応)は、あなた自身が100%自由に選ぶことができるのです。
人間は「パブロフの犬」ではない
有名な実験で、ベルが鳴ると(刺激)、よだれが出る(反応)という「パブロフの犬」の話があります。動物はプログラムされた通りに反応します。
しかし、人間は違います。コヴィー博士はこう言います。
「人間には刺激と反応の間に選択の自由がある」
誰かに「バカ」と言われた(刺激)とき、すぐに「うるさい!」と殴り返す(反応)のは、動物と同じレベルです。 人間には、刺激と反応の間に**「一時停止ボタン」**があります。
ボタンを押して時間を止め、「さて、どう反応するのが一番効果的かな?」と考えるスペース(選択の自由)があるのです。
- 笑って流す
- 冷静に理由を聞く
- 無視して自分の仕事に集中する
これらを自分で「選ぶ」ことができるのが、人間の特権です。
選択のスペースにある「4つの秘密道具」
この「選択の自由」というスペースの中で、私たちが使うべき4つの特別な能力があります。これらはスマホに最初から入っている「標準アプリ」のようなものです。
「選択の自由の中にこそ、人間だけが授かる四つの能力がある」
1. 自覚(Self-Awareness)=「ドローン視点」
「自覚は、自分自身を客観的に見つめる能力だ」
怒っている自分を、もう一人の自分が天井から見下ろしているイメージです。 「おっと、今の私は顔を真っ赤にして怒っているな。相手の挑発に乗ろうとしているぞ」と気づく力です。これがないと、感情の波に飲み込まれてしまいます。
2. 想像(Imagination)=「シミュレーター」
「想像は、現実を超えた状況を頭の中に生み出す能力である」
まだ起きていない未来を作り出す力です。 「もしここで殴り返したら、クビになるだろう」「逆に笑顔で返したら、器の大きさを示せるかもしれない」と、複数のシナリオを脳内でシミュレーションします。
3. 良心(Conscience)=「コンパス」
「良心は、心の奥底で善悪を区別し(中略)、原則と一致しているかどうかを判断する能力である」
シミュレーションした結果に対して、それが人として正しいか(原則に合っているか)を判断する力です。 「言い返すのはスッキリするけど、それは誠実ではないな」「ここでは沈黙を守るのが賢明だ」と、正しい道を示してくれます。
4. 意志(Independent Will)=「エンジン」
「意志は、ほかのさまざまな影響に縛られずに、自覚に基づいて行動する能力である」
最後は実行する力です。 どんなにムカついていても、周りが騒いでいても、良心が選んだ「正しい行動(例えば、笑顔で対応する)」を断固として実行するパワーです。
環境のせいにした瞬間、人間をやめている
「あいつが怒らせたから悪い」と言うのは、「私は自分の意志を持たない、外部刺激に操られるだけの物体です」と宣言しているのと同じです。
4つの能力を使いこなす人は、どんな最悪な環境でも、自分の機嫌や行動を自分で決めます。 雨の日でも「心の中は快晴」と決めることができる。それが主体的に生きるということです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 動物は刺激に即反応するが、人間にはその間に「選択の自由」がある。
- 一時停止した空間で、「自覚・想像・良心・意志」の4つの能力を使う。
- 自分の反応(行動や感情)は、他人や環境ではなく、自分自身で選ぶことができる。
今日から、イラッとしたらすぐに言い返すのではなく、心の中で**「一時停止ボタン」**をポチッと押してみてください。その数秒の沈黙が、あなたの人生を劇的に変えます。
Next Action:深呼吸で「スペース」を確保する
「一時停止」の具体的なやり方は深呼吸です。 嫌なことがあったら、まず深く息を吸って吐く。この間に、4つの能力(アプリ)を起動させましょう。
「もっと主体的な生き方を身につけたい」「感情のコントロール術を極めたい」という方は、ぜひ**『7つの習慣』**を読んでみてください。 特に第1の習慣「主体的である」の章は、環境や他人に振り回されがちな現代人にとって、最強の精神安定剤となるはずです。
