マルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう語っています。
「自分の務めを怠けず、きちんと果たせ。寒くても暑くても、疲れていても元気でも、けなされても褒められても、たとえ死に瀕していても。」
この厳しい戒めは、彼自身の経験から絞り出された言葉でした。皇帝という立場にあり、膨大な責任を背負ったアウレリウスは、どんな状況でも「自分の務め」に立ち戻ることを選んだのです。
務めを果たすとはどういうことか
「務め」というと堅苦しく聞こえますが、それは単に「正しいことをする」という意味です。
- 誰かを助ける
- 約束を守る
- 誠実に仕事をする
- 家族や仲間を大切にする
それらは常に明白で、直感的に「やるべきだ」と分かることです。しかし、実際には「めんどうだ」「損ではないか」「自分に得はあるか」といった雑念が判断を曇らせます。
私たちが抱く問いと迷い
「これをすると金持ちになれるのか?」
「どのくらい時間がかかる?」
「他にもっと楽な道はないか?」
こうした問いは一見合理的ですが、往々にして「務め」から私たちを遠ざけます。マルクス・アウレリウスの答えはシンプルでした。
👉 損得を問わず、ただ務めを果たすこと。
務めを果たすことの価値
- 一貫性が生まれる:迷わず行動できるため、人生の軸が安定します。
- 信頼を得られる:務めを果たす人は、周囲から安心感を持たれます。
- 自尊心が高まる:困難な状況でもやり抜いた経験は、自分への誇りとなります。
- 恐れを減らせる:結果よりも「やるべきことをやった」という事実が、心を強くします。
現代での実践方法
- 「正しいことは何か」を直感で選ぶ
損得や評価ではなく、誠実さに基づいて判断する。 - 小さな務めを大切にする
ゴミを拾う、期限を守る、感謝を伝える。小さな務めが大きな力を持ちます。 - 疲れていても最低限はやる
「今日はやめたい」と思う日こそ、小さな行動を積み重ねる。 - 振り返りを習慣にする
一日の終わりに「自分は務めを果たしたか?」と問いかけることで成長できます。
まとめ
マルクス・アウレリウスは、帝国の運命を背負いながらも「務めを果たすこと」に自らを律しました。それは特別な人間だけにできることではありません。
私たち一人ひとりに与えられた役割や日常の責任を、淡々と果たすこと。その積み重ねこそが、人生を強くし、誇りをもたらします。
どんな状況でも、今日の務めを果たす。
それだけで、人生はより確かな道を歩んでいけるのです。