マルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう述べています。
「誰が何をしようと言おうと、私の務めは善き行いをすることだ。」
この言葉には、ストア派哲学の核心が凝縮されています。周囲がどう振る舞おうと、私たちの役割はただ一つ――善き人間であること。その務めを果たすことが、人生の本質だと説いているのです。
宇宙の秩序における「務め」
ストア派は、宇宙全体を秩序あるシステムとして捉えていました。
- 石にも木にも動物にも役割がある
- 善も悪も、すべては宇宙の一部を形づくる要素である
この世界観のもとでは、人間にもまた「特定の務め」が与えられています。そして、ストア派にとって最も重要な務めとは 「善き人間であること」 にほかなりません。
善き人間とは何か
マルクス・アウレリウスが繰り返し強調したのは「哲学にふさわしい人間であること」。それは難解な理論を語ることではなく、日常の中で理性と節度を持って生きることを意味します。
- 誠実である
- 分別を持って判断する
- 他人を思いやる
- 欲望や怒りに支配されない
これらを実践することが、善き人間であることにつながります。
他人の務めは気にしない
私たちはしばしば、他人の行動や選択に苛立ち、比較し、批判してしまいます。しかしストア派が教えるのは、「他人の務めは君の務めではない」ということです。
- 上司や同僚が不正を働く
- 誰かが約束を守らない
- 世の中に理不尽がある
これらは確かに不快ですが、それをどうするかは自分の務めではありません。自分の範囲で「善き行い」を選ぶことこそが大切なのです。
今日からできる「務め」の実践
- 小さな誠実を積み重ねる
約束を守る、言葉を正直に使う。小さな行いこそ務めの基本です。 - 反応を選ぶ
相手が怒鳴っても、自分は冷静に答える。これも善き行いの一つです。 - 自分の役割を全うする
職場では責任を果たす、家庭では思いやりを持つ。場面ごとに「自分の務め」を自覚しましょう。 - 一日の終わりに振り返る
「今日は善き人間であれたか?」と自問する習慣が、自分を整えます。
まとめ
ストア派が伝えるのは、シンプルで力強いメッセージです。
- 他人ではなく、自分の務めを果たせ
- それは「善き人間であること」だ
- 善き行いは日常の小さな選択の積み重ねにある
今日一日、周囲がどうあろうとも、あなたはあなたの務めを果たせばいいのです。