自己啓発

GDP三面等価の原則と経済成長のメカニズム

taka
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1. GDP三面等価の原則と経済成長のメカニズム

経済の目的である「経世済民(国民が豊かに安全に暮らせるようにすること)」を達成するためには、経済成長が不可欠です。経済成長とは、具体的にはGDP(国内総生産)が持続的に増加することを意味します。

GDPとは、国内で一定期間に新しく生み出された付加価値(モノやサービス)の合計ですが、経済学における最も重要な絶対法則の一つに「GDP三面等価の原則」があります。これは、経済活動を「生産面」「支出(需要)面」「所得(分配)面」の3つの視点から見たとき、その合計額が必ず一致するという原則です。 例えば、企業が100万円の付加価値を持つ製品を「生産」し、顧客がそれを100万円で「支出」して購入したとします。すると、その100万円はそっくりそのまま、生産に関わった従業員の給料や企業の利益といった「所得」になります。つまり、「生産=支出=所得」の等式が厳密に成り立つのです。

この原則が示す最も重要な事実は、「誰かの支出は、必ず別の誰かの所得になる」ということです。経済成長(GDPの増加)とは、言い換えれば「国民全体の所得が増加し、国民が豊かになること」と同義です。そして、国民全体の所得を増やすための唯一の方法は、社会のなかで「誰かが支出(消費や投資)を増やすこと」に他なりません。支出が増えれば増えるほど、それが次々と別の誰かの所得となり、GDPが拡大していくという黄金循環が生まれるのです。

2. 景気低迷期における民間支出の限界と「合成の誤謬」

GDPを拡大させるための「支出」の主体は、民間(家計や企業)が行っても、政府が行っても構いません。しかし、景気の状況によっては、民間が自ら進んで支出を増やすことが極めて難しい場面が存在します。それが、まさに日本が長年苦しんできた「デフレ(需要不足)」の状況です。

デフレ不況下では、家計は将来への不安や給与減少の見込みから、消費を切り詰めて節約に励みます。また、企業もモノやサービスが売れない(市場が拡大しない)状況において、新たな工場建設や技術開発などの設備投資(支出)に多額の資金を投じることはありません。むしろ、新たな借金を控えて過去の借金の返済を優先し、企業の生き残りを図ろうとします。 個別の家計や企業にとって、「節約し、支出を減らし、借金を返す」ことは極めて合理的な経営・生活判断です。しかし、すべての民間主体がいっせいに支出を控えるとどうなるでしょうか。「誰かの支出は誰かの所得」であるため、社会全体で支出が減少し、結果として企業の利益が減り、労働者の所得(給料)もさらに減少してしまいます。所得が減った人々はさらに節約を余儀なくされ、需要が一段と縮小するという底なしの悪循環に陥ります。このように、ミクロ(個別)では正しい行動がマクロ(全体)では最悪の結果(経済の縮小)をもたらす現象を、経済学で「合成の誤謬」と呼びます。

民間が利益や生活防衛のために支出を拡大できない(してはいけない)この場面においては、社会全体の需要(支出)を底上げできる唯一の存在は、利益を追求する必要がなく、貨幣を自ら発行できる「政府」しかありません。

3. 政府が貨幣を発行できる条件:生産能力と変動為替相場制

政府は国債(国庫債券)を発行することで、事実上の貨幣発行を行い、支出を拡大することができます。しかし、世界中のすべての国が、自国の都合で無制限に貨幣を発行し、支出できるわけではありません。そこには厳格な条件と制約が存在します。 その根本的な条件とは、国内に十分な「生産能力(供給能力)」があるかどうかです。

歴史的にハイパーインフレや財政破綻(デフォルト)を引き起こしたレバノンなどの国々を例に考えてみましょう。これらの国々の最大の欠陥は、国内で国民生活に必要な食料、医療、日用品などを生産する能力(供給能力)が極端に不足していたことにあります。自国でモノを作れないため、国民の需要を満たすには海外からの「輸入」に頼らざるを得ません。 輸入に過度に依存する国が、市場に任せて自国通貨の価値が変動する為替相場制を採用すると、自国通貨が下落した際に輸入物価が急騰し、国民生活が即座に破綻してしまいます。そのため、こうした国々は自国通貨の価値を米ドルなどに固定する「固定為替相場制」を採用せざるを得なくなります。しかし、自国で売るものがないため貿易赤字が続き、手元の外貨(ドル)は枯渇します。固定為替相場を維持し、輸入を続けるためには、政府が「外貨建て(ドル建て)の国債」を発行し、海外から外貨を借り入れるしかありません。外貨は自国の権限で発行できないため、最終的に外貨建て国債の返済や利払いが不可能となり、財政破綻(債務不履行)に陥るのです。

逆に言えば、「自国通貨建ての国債」のみを発行し、それを為替レートが市場で自由に決まる「変動為替相場制」のもとで維持できる国家の絶対条件とは、「自国民が必要とするモノやサービスを自国内で賄うことができる、十分な生産能力(供給能力)を有していること」に他ならないのです。十分な生産能力があるからこそ、海外の輸入に依存せず、固定為替相場制の呪縛から逃れ、自国の経済状況に合わせた独自の通貨発行と財政政策が可能になります。

4. 日本の「恵まれた環境」と取るべき経済政策

この観点から現在の日本を評価すると、日本がいかに「恵まれた環境」にあるかが明確に分かります。 日本は、製造業、建設業、各種サービス業などにおいて、世界トップクラスの巨大なGDPに見合うだけの、世界最大級の生産能力(供給能力)を依然として維持しています。自国で必要なモノを生産し、インフラを整備する力があるため、為替レートが自由に変動する「変動為替相場制」を安定して維持することができています。

この強靭な供給能力と変動為替相場制を背景に、日本政府が発行する国債はほぼ100%「自国通貨(日本円)建て」となっています。自国通貨建ての国債は、政府の子会社である中央銀行(日本銀行)が自国通貨(日銀当座預金)を発行して買い取ることができるため、原理的かつ実務的に、政府が返済不能に陥る「財政破綻(デフォルト)」の可能性は絶対にありません。日本の財務省自身も「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と公式に認めています。

つまり、日本は「変動為替相場制を維持できるだけの十分な生産能力を持ち、100%自国通貨を発行できる」という、強力な特権を持った「主権通貨国」なのです。政府の貨幣発行(国債発行と支出)を制約するものは、「借金の額」ではなく、国内の供給能力に対する需要の割合で決まる「インフレ率」だけです。 現在、日本には長引くデフレの影響で、本来の生産能力に対して総需要が不足する「デフレギャップ」が存在しています。民間企業や家計が「合成の誤謬」によって支出を増やせないこの場面において、日本が持つ「恵まれた環境(高い生産能力と通貨発行特権)」を使わない手はありません。

政府は、財政破綻の嘘に怯えることなく、貨幣を発行して、インフラの再整備、防災対策、科学技術の研究開発、教育、医療、防衛などに大規模な支出(投資)を行うべきです。政府の支出が増えれば、GDP三面等価の原則に従って、仕事を受注した企業やそこで働く国民の「所得」が確実に増加します。政府の支出が「呼び水」となって民間企業が安心して設備投資や賃上げを行える環境が整えば、日本経済は再び成長の黄金循環に乗り、国民全体の真の豊かさを取り戻すことができるのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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