「政府の赤字」は「国民の黒字」であるという真実
政府の借金という名の「国民の資産」
多くの人が「政府の赤字」を悪いものだと考えています。しかし、事実はその反対です。例えば、コロナ禍で配られた10万円の特別定額給付金を思い出してください。政府は約12兆円の国債を発行し、12兆円の財政赤字を計上しました。
しかし、その反対側で何が起きたか。皆さんの銀行口座には10万円が振り込まれ、国民全体では12兆円の黒字が発生したのです。つまり、政府の赤字は、私たち国民の黒字そのもの。この単純な「事実」こそが、経済の本質なのです。
なぜ私たちは「黒字化」に騙されるのか
それにもかかわらず、なぜ世論はプライマリーバランス(PB)黒字化を支持してしまうのでしょうか。理由は二つあります。一つは、人間の脳が「赤字」という言葉に反射的な嫌悪感を抱き、「黒字」を無条件に善だと誤認してしまうこと。
もう一つは、取引の「相手方」を想像できないことです。誰かが支出したお金は、必ず別の誰かの所得になります。政府が赤字を減らして黒字を目指すということは、国民からお金を吸い上げ、私たちの黒字を減らす「国民赤字化目標」に他なりません。
単年度評価という足かせの危うさ
日本の財政目標が抱える最大の欠陥は「単年度での進捗確認」にあります。あらかじめ決めた削減目標の線から少しでも外れれば、強引に予算を削り、国民の所得を奪って調整しようとします。
現在、高政権はこれを「数年単位での評価」に見直そうとしていますが、期間が数年程度では根本的な解決にはなりません。数年ごとに「足りない分を削れ」という圧力がかかる構造は変わらないからです。真に必要なのは、期間の延長ではなく、目標そのものの撤廃です。
経済の舵取りと政治の安定
今、日本の経済政策は重要な転換点を迎えています。5月の「骨太の方針」策定に向けて、この議論をどこまで深められるかが鍵となります。しかし、政局の混乱で議論が止まることは、国家にとって大きなリスクです。
「誰かの赤字は、誰かの黒字」。この当たり前の事実を理解する人が増えない限り、日本経済の再生はありません。私たちは、言葉のイメージに惑わされることなく、数字の裏側にある真実を見極める必要があります。
