『習慣化は自己肯定感が10割』レビュー|意志よりも“自分を信じる力”が習慣をつくる
「続かない自分」を責めるのはもうやめよう
――『習慣化は自己肯定感が10割』に学ぶ、優しい習慣術
「よし、今日から毎朝早起きしよう!」
「1日30分、英語の勉強を続ける!」
決意したその日は完璧でも、3日後にはすっかりやる気が消えてしまった……。
そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
心理カウンセラーの中島輝さんは、そんな“続かない自分”を責める前にこう言います。
習慣を支えるのは「意志の力」ではなく、「自己肯定感」である。
本書『習慣化は自己肯定感が10割』は、“気合い”や“根性”に頼らず続ける方法を、心理学的に体系化した一冊。
自己肯定感の第一人者である著者が、1万人以上の相談者を支援してきた実践的な理論をわかりやすく紹介しています。
習慣化を決めるのは「自己肯定感の6つの感」
著者によれば、自己肯定感は次の6つの感覚から成り立っています。
- 自尊感情:自分には価値があると思える感覚
- 自己受容感:ありのままの自分を認める感覚
- 自己効力感:自分にはできると思える感覚
- 自己信頼感:自分を信じられる感覚
- 自己決定感:自分で選び、決められる感覚
- 自己有用感:自分は誰かの役に立っていると感じる感覚
これらがバランスよく育っているほど、「続ける力」=習慣化の力が強くなるのです。
習慣化は6ステップで育つ
中島氏は、習慣が定着するまでを次の6段階に分けています。
- 種まき期:始めようと決める時期(自尊感情)
- 反発期:面倒くさくなる時期(自己受容感)
- 忍耐期:継続がつらくなる時期(自己効力感)
- 成長期:行動が安定し始める時期(自己信頼感)
- 開花期:自然に続けられる時期(自己決定感)
- 達成期:成果を感じる時期(自己有用感)
多くの人が挫折してしまうのは、1〜2の「種まき期」「反発期」。
ここを乗り越えるには、“頑張ること”ではなく、“自分を認めること”が必要なのです。
【STEP1】「自尊感情」で始まりを整える
新しい習慣を始めるとき、つい「結果」を焦りがちです。
でも、最初に大切なのは**「なぜ自分はそれをやりたいのか」**という動機の確認。
たとえば「TOEICで800点を取りたい」と思っても、
その裏に「今の自分を変えたい」「自由に働けるようになりたい」という本音が隠れていることがあります。
この“本音”を見つけることで、自分の行動に意味が生まれ、やる気が自然と湧く。
それが「自尊感情」を満たす第一歩です。
著者が紹介する方法の一つに、思考の枠をやわらげる「リフレーミング」があります。
「うまくいかない」と思ったら、「ま、いっか」と言ってみる。
「あの人のやり方もいいね」と言葉にしてみる。
そんな小さな言葉の置き換えが、心の柔軟性を取り戻すきっかけになるのです。
【STEP2】「自己受容感」で反発期を乗り越える
新しい習慣を始めて数日たつと、必ず訪れるのが“やる気の反発”。
「今日は忙しいし、まあいいか」とサボりたくなる時期です。
ここで多くの人は「またできなかった」と自分を責め、モチベーションを失ってしまいます。
しかし、習慣化の成功者は違います。
「まあ、そんな日もあるよね」と受け入れる。
この「自己受容感」こそ、挫折を乗り越える最強のメンタルです。
自己受容感を高めるワーク:「フォー・グッド・シングス」
中島氏が提案するシンプルな方法が「フォー・グッド・シングス」。
やり方は簡単です。
- その日あったネガティブな出来事を1つ書く。
- その周りに、ポジティブな出来事を4つ書く。
たとえば——
「ダイエット中なのにパフェを食べてしまった」
→「でもすごく幸せだった」「持ち帰りケーキは買わなかった」「友達と笑えた」「明日また頑張ろうと思えた」
このワークを繰り返すことで、失敗を“自分の一部”として受け入れる感覚が育ちます。
「できる日もあれば、できない日もある。それでいい」。
そんな優しさこそが、習慣を長く続けるための本当の支えになるのです。
「自己肯定感がある人ほど、続けられる人」
意志や努力ではなく、自分を肯定する力が続ける力を生む。
これが本書の最大のメッセージです。
途中でサボっても、やる気が出なくても、
「そんな自分でもいい」と思える人は、翌日また立ち上がれる。
完璧を求めず、ゆるやかに続けること。
それが「自己肯定感ベースの習慣化」です。
本書を読んで感じたこと
本書の良さは、「心理学×実践」のバランスが取れている点です。
習慣化の理論だけでなく、
- 自尊感情を育てる「リフレーミング辞典」
- 自己肯定感を上げる21のモーニングルーティン
- 習慣を成功させる「7つの力」
といった具体的なメソッドも満載。
読むうちに、「頑張らなくてもいいんだ」「自分を責めなくていいんだ」と心が軽くなります。
習慣が続かない人ほど、読んで救われる一冊です。
■ こんな人におすすめ
- 三日坊主を克服したい
- 自分に厳しすぎると感じる
- 新しい習慣を身につけたいけど続かない
- 自己肯定感を高めたい
