遠い未来に称賛を求める愚かさ
マルクス・アウレリウスは『自省録』でこう戒めています。
「誰も彼も、同じ時代を共に生きる人々をたたえようとはしないのに、未来の人々から称賛を受けることを心待ちにしている――会ったこともない人々、この先もけっして会うことのない人々からの称賛を!」
つまり、人は「まだ生まれてもいない未来の人々」に名を残そうと躍起になるが、そんなものは自分が死んだ後には無意味だ、ということです。
アレクサンドロス大王の「遺産」の虚しさ
アレクサンドロス大王は偉大な征服者として名を残し、都市アレクサンドリアはいまでも彼の名を冠しています。2,300年後の現代でも、その名前は消えていません。
一見、それは「素晴らしい遺産」に見えます。ですが彼自身はすでにこの世になく、自分の名声を楽しむことはできません。むしろ彼はその過程で――
- 数えきれない戦争を起こし、無数の命を奪った
- 酒に酔って親友を殺すほどの激情家だった
- 野心の奴隷となり、情け容赦のない振る舞いを続けた
これが本当に「英雄」と呼べる生き方でしょうか?
今、この瞬間に英雄であれ
未来に評価されることを望むよりも、今この瞬間に善い行いを積み重ねることの方がはるかに価値があります。
- 誰も見ていなくても正直でいること
- 困難に直面しても勇気を持って行動すること
- 周囲に親切や思いやりを示すこと
- 自制を保ち、野心や怒りに振り回されないこと
これこそが、真の「英雄的な生き方」です。
現代社会での実践
- 職場で:結果や肩書きより、日々の小さな誠実さを積み重ねる
- 家庭で:将来の立派な姿を夢見るより、今の一言「ありがとう」を大切にする
- 人生全般で:遺産や名声よりも、日々の善き習慣を残すことに注力する
まとめ ― 英雄は未来にいるのではない
未来の評価を気にするより、今この瞬間に正しく、気高く生きること。
- 名声は死後には無意味
- 遺産は時に苦しみや犠牲の上に築かれる
- 真の英雄は「未来に名を残す人」ではなく「今を誠実に生きる人」
英雄は、歴史の中にではなく、今を生きるあなた自身の中にいます。