誰の身にも降りかかるもの｜死が教えてくれる人生最大の平等

ローマ皇帝マルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう述べています。

「アレクサンドロス大王もその馬丁も、死によって同じ場所に運ばれた――二人とも世界の創造的理性の内へ戻されたか、原子となって散らばったか。」

世界を征服した大王であっても、彼に仕える馬丁であっても、死によって同じ運命をたどるというのです。

この世で唯一の平等

私たちが生きる社会は、ますます不平等に満ちています。
経済格差、教育格差、健康格差……あらゆる場面で「平等」とはほど遠い現実を目にします。

ベンジャミン・フランクリンは「この世で確かなものは死と税金だけだ」と語りました。
しかし現代では税金すら巧妙に逃れる人々がいます。そう考えると、今もなお誰も避けられない唯一の平等は「死」なのです。

ハムレットが見た「死の平等」

シェイクスピアの『ハムレット』にも、死の平等について考えさせられる場面があります。

「帝王シーザーも死んでは土となり、
風ふせがんと穴をふさぐ。
かつては天下を畏怖せしめた、かの土くれも、
いまや壁穴ふさぎ北風避ける。」

世界を震え上がらせたユリウス・カエサルも、死後はただの土に還り、その土は壁の穴を塞ぐ材料となる。
かつての威光も、死の前では無力なのです。

死を思うことが生を深める

死は恐ろしいもの、避けたいものと考えられがちです。
しかし、ストア派哲学者たちが繰り返し強調したのは、「死を思うことが、むしろ生を深める」という点でした。

• 成功して慢心しそうなとき、死を思えば謙虚さを取り戻せる
• 劣等感に押しつぶされそうなとき、死を思えば「誰もが同じ結末に至る」と安心できる
• 迷いや不安に襲われたとき、死を思えば「限られた時間をどう使うか」という本質に立ち返れる

死を見据えることは、人生をより誠実に、より意味深く生きるための強力な視点なのです。

今をどう生きるか

「死ぬときは誰も優れていないし、劣ってもいない。」
この事実を受け入れることができれば、比較や競争に縛られすぎることなく、今この瞬間を大切に生きられます。

• 地位や財産にこだわりすぎず、自分が本当に大切にしたいものに時間を使う
• 他人の成功に嫉妬するのではなく、自分の歩みに集中する
• 自分の小さな一歩にも意味を見出し、誠実に積み重ねていく

死の平等を思えば、人生をどう生きるかという問いはよりシンプルになります。

まとめ ― 死を意識してこそ、謙虚に生きられる

私たちは皆、同じ最後を迎えます。
アレクサンドロス大王も、無名の一人も、同じように土へと還ります。

それは恐ろしい事実ではなく、むしろ人生をより自由に、謙虚に、誠実に生きるための教えです。

次に、自分を「偉い」と感じてしまったときも、「惨め」だと思ってしまったときも、思い出してください。
誰もが同じフィナーレを迎えるのだということを。

死は避けられません。だからこそ、残された時間をどう生きるか――そこにこそ、人生の意味があるのです。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。