政治・経済

配当金だけ10倍の異常。日本経済が歪んだ真の理由

taka

歪な数字が語る日本経済の30年

財務省の法人企業統計調査が示すデータは、あまりにも衝撃的である。デフレが本格化した1997年度を基準に現代までを比較すると、日本企業の姿が浮き彫りになるからだ。 売上高は1.13倍、人件費は1.03倍、そしてソフトウェアを除く設備投資は1.01倍。つまり、実体経済を支える数字は、およそ30年間ほぼ横ばいである。しかし、唯一突出して伸びた項目がある。配当金だ。その倍率は、実に9.74倍。売上も給料も増えていないのに、株主への配当だけが10倍近くに膨れ上がっている。この異常なバランスを、正常な経済活動と呼べるだろうか。

「投資なき還元」が起きたメカニズム

一部の経済メディアは「配当が増えたことより、投資が増えないことが問題だ」と指摘する。確かに投資不足は深刻だが、その背景を見誤ってはならない。長引くデフレにより総需要が不足している状況下で、企業が設備投資を増やせるはずがないのだ。売上が伸びる見込みがない中での投資は、損失に直結するからである。 真の問題は、デフレで成長が見込めない時期に、株主資本主義の論理だけで配当金を極端に増やし続けたことにある。「デフレによる需要不足」と「行き過ぎた株主還元」。日本はこの二つの誤りを同時に犯し、経済の歪みを拡大させてきたといえる。

格差を固定化する税制の正体

さらに、この歪みを助長しているのが税制だ。特に「分離課税」の存在は見過ごせない。上場企業の配当金に対する税率は、所得の多寡にかかわらず一律20%程度に抑えられている。汗水流して働く労働所得には累進課税が適用される一方で、不労所得である配当への課税は優遇されているのが現実だ。 この分離課税が導入されたのは1989年。消費税導入と同じタイミングであることは偶然ではないだろう。以来、消費税増税、法人税減税、そして分離課税と、一貫して「格差を拡大する方向」へ税制改革が進められてきたのである。

国家の強靭さを取り戻すために

今、求められているのはこの流れの逆転である。消費税を減税して需要を喚起し、法人税と所得税の累進性を強化する。そして、分離課税を見直し、金融所得への公正な課税を行うことだ。 行き過ぎた株主資本主義を是正し、国民全体の所得を底上げする政策へと舵を切らなければならない。格差を拡大し、国家を脆弱化させるこれまでの「改革」に決別する時が来ている。数字が示す警告を真摯に受け止め、まっとうな経済を取り戻すべきである。

スポンサーリンク
ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました