政治・経済

名目GDP4.5%成長と無意味化するPB黒字化

taka

膨張する名目GDPのからくり

2025年の経済成長率が発表された。物価変動を除いた実質GDPは前年比1.1%の微増にとどまったが、金額ベースの名目GDPは4.5%という高い伸びを記録している。しかし、これで「日本経済が復活した」と考えるのは早計である。この名目成長の大部分は、GDPデフレーターがバブル期を超える3.4%の上昇を示したことによるものだ。経済の実態が劇的に良くなったというよりも、急激な物価上昇によって見かけの金額が大きく膨らんでいるに過ぎないといえる。

サプライロス型インフレの正体

現在の日本は、長きにわたり苦しめられた需要不足のデフレからは明確に脱却した。ただし、それは純粋に需要が盛り上がったからではない。長年のデフレ放置策によって、日本全体の「モノやサービスを生み出す供給能力」が毀損してしまった結果である。需要が伸び悩む中で供給能力がさらに小さくなった「サプライロス型インフレ」に陥っているのだ。しかし見方を変えれば、世の中が供給不足である以上、企業が生産性向上のための設備投資を行えば、確実に利益に結びつきやすい環境へと変化しているのも事実である。

自動的に改善していく財政指標

この名目GDPの力強い成長は、国の財政に思わぬ好影響をもたらす。名目GDPが4.5%ものペースで拡大し続ければ、経済規模に対する政府の債務割合は、緊縮財政を行わずとも自動的に縮小していくからだ。現在の日本において国債金利がこの成長率を上回る事態は考えにくく、仮に金利上昇の圧力がかかっても日銀が適切に対応すれば問題ない。国民に無理な負担を強いなくても、国の財政指標は自然と健全化に向かうフェーズに入っているのである。

黒字化目標はすでに役目を終えた

今回のGDP統計が突きつけた最大の結論は、政府が掲げてきた「プライマリーバランス(PB)の黒字化目標」が、もはや完全に時代遅れになったという事実である。そもそもこの目標は、「経済が全く成長しない」という前提のもとで、債務割合を無理やり下げるための方便に過ぎなかった。現実の経済がインフレへと転換し、名目GDPが確実に上昇し始めている現在、支出削減に固執してまでPB黒字化を追求する理由は、もうどこにも存在しないのである。

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TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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