政治・経済

日本はMMTを実証したのか、その核心に迫る

taka

財政拡大は本当に危険なのか

日本は世界でも突出した債務比率を抱えているため、「これ以上の財政支出は国家破綻を招く」という懸念が根強い。しかし興味深いのは、財務省自身がかつて海外格付け会社に宛てた意見書の中で、「日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と明言している点である。
これはMMTが主張する「自国通貨を発行できる国は債務不履行に陥らない」とほぼ同じ内容であり、財務省が部分的にMMTの論理を肯定していることを示している。
意見書では、日本が世界最大の貯蓄超過国であり、国債の消化も国内で安定していること、さらに経常黒字国である点を強調していた。これらの条件が整っている限り、国債の信認は揺らぎにくいという立場である。

金融政策はすでに限界に近い

財政に慎重姿勢を示しつつも、日本がこれほどまでに金融政策へ依存してきた理由は、金利操作による景気刺激に期待したためだ。1999年のゼロ金利政策を皮切りに、日銀は量的緩和、質的緩和、さらにはマイナス金利政策へと矢継ぎ早に手を打ってきた。
しかし、どれほど緩和を進めても物価は上がらず、景気回復の手応えも弱い。しかも金利の深掘りには限界があり、銀行業の収益悪化を通じて金融システム不安を招く恐れがある。特に地方銀行はすでに収益が圧迫され、業界再編が進む状況にある。
さらに過剰な緩和は資産バブルの火種にもなり得る。株式、不動産、その他の市場が過熱し、最終的にバブルが崩壊すれば、そのダメージは再び国民生活に跳ね返る。

財政も金融も手詰まりの中で

財政出動は「財政悪化」を理由に制限され、金融政策も深掘り余地が乏しい。その袋小路の中で、MMTが「新しい選択肢」として注目されるのは自然な流れだ。
MMTの根幹は、自国通貨建て国債を発行できる国は財政赤字を恐れる必要がなく、必要に応じて支出を拡大できるというもの。
実際、日本は債務残高がGDP比200%を超えているにもかかわらず、金利は低位安定し、物価も抑制されたままである。この状況は従来の経済理論では説明しづらく、MMT提唱者のケルトン教授も「日本はMMTの正しさを実証している」と指摘している。

それでも残る強い反論

とはいえ、MMTには強烈な批判が多い。ポール・クルーグマンは「金利が成長率を上回れば債務は雪だるま式に膨らみ、保有する見返りとして金利上昇を招く」と警告する。
つまり、いつまでも低金利が続くとは限らず、どこかで市場が債務負担に耐えられないと判断すれば、急激な金利上昇が起き得るという懸念だ。
また、財政支出を拡大すればインフレ圧力が強まり、最終的に制御不能な物価上昇へつながるリスクも指摘される。MMTが政策として正式採用されない背景には、この「制御不能リスク」があるといえる。

日本はMMTを実践したのか

日本が行ってきたのは、あくまでも金融緩和を中心とした政策であり、MMT型の積極財政を本格的に展開したわけではない。
しかし結果として、「巨額の財政赤字があっても日本は破綻せず、金利も急騰しない」という現実が示され、それがMMT支持の追い風となった。
ただし、MMT的発想で「いくらでも財政支出すればよい」と判断するのは危険であり、財政政策・金融政策の両面から慎重な舵取りが求められる。
今後必要なのは、財政の持続性と経済成長の両立であり、日本が進むべき道はその狭間にあると考えられる。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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