日本で高まるMMT論争の真相
政治の中心へ浮上したMMT
MMTへの関心は米国だけでなく、日本でも2019年頃から一気に高まった。春の時点で、日銀総裁の記者会見で「MMTへの見解」を問う質問が出るほど、経済理論としての存在感が増していたのである。
さらに同年4月、参議院決算委員会では、自民党の西田昌司議員がMMTを取り上げ、安倍首相や黒田総裁、麻生財務相がそれぞれの立場から意見を述べた。こうした場面が続いたことで、MMTは政治議論のテーマとして明確に浮上していったといえる。
財務省の姿勢と否定的な見解
4月17日に開かれた財政制度等審議会では、財務省が配布した資料のうち4ページがMMTに割かれていた。しかし、その内容は国内外の専門家による否定的なコメントの紹介に終始し、中立性を欠いた構成となっていた。
この資料から、財務省がMMTに対して警戒姿勢を強めていたことが読み取れる。従来の財政規律を重視する立場からすると、MMTの主張は受け入れがたいものであったと推察できる。
各政党から広がる議論
MMTは特定の政党にとどまらず、政治全体で議論されるテーマとなった。日本共産党の大門議員は、欧米でのMMT支持の高まりを「緊縮政策への反発」と分析し、日本政府の姿勢も同じく緊縮的だと指摘した。
また、自民党でも12月に金融調査会がMMTの勉強会を開催し、肯定・否定の両面から意見が出された。無制限の財政出動を認めているわけではなく、インフレが上昇するまでが政策余地だという指摘もあった。政策論として冷静に理解し、検証する姿勢が広がりつつあったといえる。
れいわ新選組がもたらした認知拡大
MMTが一般層に浸透した背景として、れいわ新選組の影響は大きい。同党の掲げる「消費税廃止」「奨学金徳政令」などの政策は若い世代に強く響き、2019年の参院選では大きな支持を集めた。
ホームページには「財源は新規国債でまかなう」「インフレ率2%までは財政出動が可能」という説明が記されており、その発想はMMTに近い。財政出動を積極的に行い、経済を成長させることで税収を確保するという構図である。
こうした主張が注目を浴びたことで、多くの国民がMMTという言葉を知るきっかけとなった。政治の現場から市民レベルまで、MMTへの関心は確実に広がったといえる。
