政治・経済

中国依存の危機――レアアースと日本の生存戦略

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中国の対日圧力と見えてきた構図

中国が日本産水産物の輸入停止を発表し、その前段として中国人観光客への渡航自粛要請を出した。こうした動きは単発の制裁措置ではなく、対日圧力を段階的に強める一連の流れといえる。レアアースの輸出制限も時間の問題という見方は妥当であり、過去にも尖閣諸島をめぐる摩擦の中で中国は輸出制限を実行している。中国側にとって、資源や製品を「武器」として使うことは、既に実績のある手段なのである。

日本が直面する最大の弱点――対中依存と海上輸送のリスク

取材の場で問われた「封鎖時の経済的ダメージ」という視点は、もはや問題の本質ではない。日本が抱える脆弱性は、輸出ではなく「輸入」にある。とりわけレアアースやリン酸アンモニウムなど、基幹産業に不可欠な資源の多くを中国に依存してきた。その依存度の高さこそが、中国の圧力を強める背景となっている。
さらに深刻なのは、バシー海峡が封鎖された場合のシナリオだ。ここが機能しなくなると、日本への原油輸入が事実上止まる。日本の原油の中東依存度は約95%であり、海上輸送の遮断は国全体のエネルギー供給を瞬時に奪いかねない。

原油が止まるという現実的な危機

原油が入ってこなくなるということは、ガソリンや軽油だけでなく、アスファルト、ナフサ、プラスチックなど、生活と産業を支える膨大な製品の供給が滞ることを意味する。化石燃料に依存した化学肥料も生産できず、農業は大幅に制限される。耕運機が動かない。輸送網が麻痺する。
その結果として食料価格は跳ね上がり、光熱費も高騰する。こうした影響は企業の収益や輸出の問題を遥かに超え、人々の生存基盤そのものを揺るがす事態といえる。

「生存に必要な財」を他国に預けてきた代償

現在の危機の根底には、過去の日本が中国を「仮想敵国」と認識しつつ、最も重要な資源や素材をその国から輸入し続けてきたという矛盾がある。本来であれば安全保障上のリスクとして回避すべき構造が、経済効率と価格競争力を優先した結果として深く固定化されてしまった。
グローバリズムは平和を前提に機能する仕組みである。その前提が揺らいだ瞬間、国家は資源の供給を確保できなくなり、生存に直結する領域が脅かされる。まさに今、日本はその現実に向き合わされている。

いま必要なのは「学び」と「脱依存の決断」

中国がスパイ摘発を強化し、在中邦人の安全が懸念される状況のなかで、我々が学ぶべきは明白である。生存に必要な財は自給率を高めるか、少なくとも中国依存を脱する方向へ舵を切ることだ。これまでのツケは大きいが、今からでも遅くはない。
国家の安全保障は軍事だけでは成り立たない。食料、エネルギー、肥料、素材――それらをいかに確保するかが、生存戦略の中核といえる。その現実を理解し、適切な議論と行動を国民全体で積み重ねていくことが求められている。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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