金持ち優遇?日本の税制が「逆進的」になった真実
失われた累進性と逆進性の拡大
「累進課税」という言葉を聞いたことがあるだろうか。所得が高い人ほど税率が高くなる、公平な税制の基本原理だ。しかし、現代の日本において、この累進性は見る影もなく失われている。消費税だけでなく、法人税、所得税、社会保険料に至るまで、あらゆる制度が「逆進的」、つまり低所得者ほど負担が重く、富裕層ほど軽くなる歪んだ構造に変貌してしまったのだ。
法人税減税の穴埋めとしての消費税
まず、消費税導入の歴史を振り返ろう。消費税が導入された1989年以降、法人税は20%以上も引き下げられてきた。データを見れば一目瞭然だ。消費税収の累計は約381兆円。対して法人税の減収累計は約214兆円。 つまり、消費税は社会保障のためではなく、大企業の減税分を穴埋めするために使われてきたといえる。そして、浮いたお金は従業員の給料ではなく、株主配当へと消えた。配当金は過去最高を記録し、富裕層だけが潤うシステムが完成したのである。
「1億円の壁」と分離課税の闇
さらに衝撃的な事実がある。所得税の負担率は、年収1億円をピークに下がっていくのだ。これを「1億円の壁」と呼ぶ。 なぜか。超富裕層の収入の大半は株の配当や売却益だからだ。給与所得の最高税率が55%であるのに対し、株の利益にかかる税率は「分離課税」により一律20%に固定されている。年収100億円の人の税負担率がわずか16%程度で済むのは、この優遇税制のおかげである。汗水たらして働く現役世代よりも、株で儲ける富裕層の方が税率が低い。これが日本の現実だ。
社会保険料という隠れた重税
そして忘れてはならないのが、社会保険料の逆進性だ。給料から天引きされる社会保険料は、約15%と非常に重い負担だが、実は年収約1700万円で頭打ちになる上限設定がある。年収1億円の人でも、負担額は年収2000万円程度の人と変わらないのだ。 消費税増税ばかりが注目されるが、音もなく引き上げられてきた社会保険料こそが、現役世代を苦しめる最大の「逆進税」となっている。税制全体を見渡せば、日本はもはや「金持ち優遇の国」といっても過言ではないだろう。
