膝窩筋の圧痛テスト:正確な触診ポイントと臨床での評価法
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Taka Knowledge Output
変形性膝関節症(KOA)は、中高年に多くみられる膝関節の代表的な疾患です。一般的には「軟骨のすり減り」が注目されがちですが、近年、膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad: IFP)という組織にも関心が集まっています。
IFPは膝蓋骨(お皿)の下にある脂肪組織で、関節の動きをスムーズにし、衝撃を和らげる役割を担っています。しかしKOAでは、このIFPが硬くなったり、炎症を起こしたりすることが報告されており、「膝の痛みの隠れた原因」として研究が進められています。
今回ご紹介する研究の目的は、KOA患者におけるIFPの局所微小循環(血流の細かな働き)を明らかにすることです。
具体的には、大腿四頭筋のアイソメトリック収縮(isometric quadriceps exercise: IQE)という簡単な運動中に、
を比較し、KOA患者と健常者との違いを調べました。
対象は以下の3グループです。
測定は「安静時 → IQE中 → 運動後」の流れで行われました。
KOA患者では、IFPの硬さや血流(ヘモグロビン濃度)が運動によって十分に変化しないことが明らかになりました。
これは、膝関節におけるIFPの局所微小循環が障害されていることを示しており、膝の痛みや炎症の持続に関わっている可能性があります。
👉 膝痛に悩む方は、「筋肉や軟骨だけでなく、脂肪体も関係している」ことを知っておくと、リハビリや治療の理解が深まるかもしれません。