「死ぬ気で頑張って、頂上で絶望する」人の特徴。その努力、壁が違っていませんか?
「毎日、目の前の仕事で手一杯だ」 「スケジュール帳はびっしりなのに、将来が見えない」
もしあなたが今、このような**「忙しさ」**に追われているなら、少し危険かもしれません。
一生懸命であることは素晴らしいことです。しかし、その一生懸命さが、あなたを**「間違ったゴール」**へ猛スピードで運んでいるとしたらどうでしょうか?
理学療法士としてリハビリに関わっていると、時々「とにかく筋トレをしまくる」患者さんがいます。しかし、その人の膝の痛みの原因が「筋力不足」ではなく「関節の硬さ」だった場合、その努力は全て無駄になるどころか、体を壊す原因になります。
この記事では、コヴィー博士が警鐘を鳴らす**「活動の罠」と「はしごの掛け違い」**について解説します。
結論をお伝えします。 重要なのは、どれだけ速く登るか(効率)ではありません。 **登ろうとしている壁が、本当に登りたい場所なのか(目的)**を確認することです。
忙しさは「麻酔」である
コヴィー博士は、私たちの日常に潜む罠についてこう述べています。
仕事に追われ、「活動の罠」に人はいとも簡単にはまってしまう。
「活動の罠」とは、**「忙しく動いていることで、何かを成し遂げている気になってしまう錯覚」**のことです。
ハムスターの回し車
これをわかりやすくイメージしてみましょう。 カゴの中で必死に回し車を走っているハムスターがいます。 彼は汗だくで、全速力で走っています。 「俺はこんなに頑張っている! きっと遠くまで行けるはずだ!」
しかし、客観的に見れば、彼は一歩も前に進んでいません。 私たちも、「メールの返信」「会議」「SNSのチェック」という回し車を回すだけで、一日を終えていないでしょうか? 忙しさは、心の虚しさを一時的に忘れさせてくれる「麻酔」のようなものです。麻酔が切れた時、残るのは疲労感だけです。
「頂上での絶望」を防ぐために
そして、最も恐ろしいのが次の部分です。
成功へのはしごをせっせと上っているつもりでも、一番上に到達したときにはじめて、そのはしごは間違った壁に掛けられていたことに気づく。
想像してみてください。 あなたは「出世」や「年収アップ」というはしごを、家族を犠牲にし、健康を削りながら、何十年もかけて登り切りました。 やっと頂上(定年退職)に着いて、景色を見渡した時、気づくのです。
「あれ? 私が本当に見たかった景色(家族との団欒や健康な体)は、隣のビルの屋上にあったのか……」
これが「はしごの掛け違い」です。 登り切ってからでは、もう降りて登り直す時間(寿命)は残っていません。
「時計」ではなく「コンパス」を持つ
私たちはつい、「時計(効率・スケジュール)」ばかりを気にします。 「どうすればもっと速く登れるか?」 「どうすれば1時間で多くの仕事をこなせるか?」
しかし、本当に必要なのは**「コンパス(方角・指針)」**です。 「そもそも、私は北に行きたいのか? 南に行きたいのか?」
リハビリで考える「正しい目標」
私の現場でも、まずはコンパスを確認します。 「またゴルフができるようになりたい」のか、「孫を抱っこしたい」のか。 それによって、鍛えるべき筋肉(登るべき壁)は全く違います。
もしあなたが今、猛烈に忙しいなら、一度立ち止まる勇気を持ってください。 「速く進むこと」よりも、「正しい方向に進むこと」の方が、100倍重要だからです。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 「忙しい=充実」ではない。それは思考停止に陥る「活動の罠」かもしれない。
- どれだけ努力してはしごを登っても、壁(目的)が間違っていたら全て徒労に終わる。
- 効率(時計)を気にする前に、人生の目的(コンパス)を確認する時間を取ろう。
はしごを登る足を止めるのは怖いことです。 しかし、間違った場所に到着するよりは、今ここで立ち止まり、地図を広げる方が、はるかに賢明な選択です。
Next Action:自分の「葬儀」を想像する
少しショッキングですが、最強のコンパス確認方法があります。
「自分の葬儀で、友人や家族になんと言われたいですか?」
- 「仕事熱心な人だった(けど家庭は顧みなかった)」と言われたいか。
- 「いつも優しくて、人生を楽しんでいる人だった」と言われたいか。
その答えこそが、あなたが本当に登るべき**「正しい壁」**です。 今週末、5分でいいのでスマホを置いて考えてみてください。
