「心配性の人ほど健康」──パーシー・ホワイティングに学ぶ“妄想を笑い飛ばす”生き方

「心配しすぎて死にかけた」男の物語

デール・カーネギーの『道は開ける』には、
“極度の心配性”として知られた パーシー・ホワイティング氏 の興味深い体験談が紹介されています。

彼はこう語ります。

「私は極度の心配性で、他の誰よりも多くの病気で死にかけました。」

ホワイティング氏の父は薬剤師でした。
そのため彼は普通の人より多くの病名を知っており、
少しでも体調に違和感があると、すぐに最悪の想像をしてしまいました。

「病気の知識」が不安を増幅させた

医学知識が豊富だったことが、彼にとっては“呪い”となりました。
彼はわずかな体の不調から、あらゆる病名を思い浮かべては、

「もしかして、私は重い病気ではないか」
と想像を膨らませ、何時間も頭の中で不安を再生し続けたのです。

「実際、あまりにも心配でいたたまれず、何度も死ぬような思いをしました。」

そして彼は、自分の妄想の中で“何度も死に”、
現実の人生を楽しむ余裕を完全に失っていました。

「どうせすぐ死ぬ」と思い込むほどの心配性

ホワイティング氏の心配は、生活にも影響を及ぼしました。

「新しい服を買う時期になっても、『どうせすぐに死ぬのだから、服を買っても無駄だ』と思いました。」

彼の心は常に「最悪のシナリオ」でいっぱい。
健康診断を受けるたびに不安になり、
未来の喜びをすべて「病気の恐怖」に奪われていたのです。

このような“過剰な不安”を心理学では 「健康不安（health anxiety）」 と呼びます。
実際、心配しすぎることがストレスホルモンの分泌を増やし、
免疫力を低下させることも分かっています。

まさに、**「心配が病をつくる」**のです。

それでも彼は「笑い」で心配を克服した

では、そんなホワイティング氏がどうやって心配性を克服したのか？

答えは、驚くほどシンプルです。

「『この二十年間、致命的な病気に侵されて死ぬような思いを何度もしてきたが、
ほらこのとおり、いたって健康だ』と考え、自分の妄想を笑い飛ばすことにした。」

彼は、自分の“心配グセ”を客観的に見つめ直し、
**「あれだけ心配しても、実際は何も起きなかった」**と気づいたのです。

そして、恐怖や妄想を「笑い」に変えることで、
それらを深刻に受け止めることをやめました。

笑いは「心のリセットボタン」

心理学的にも、「笑い」には強力な癒しの力があります。

• 笑うと脳内でセロトニンやエンドルフィンが分泌され、ストレスが緩和される
• 免疫細胞（NK細胞）が活性化し、健康を維持しやすくなる
• 不安を「客観視」できるようになり、恐怖の支配から抜け出せる

つまり、ホワイティング氏が実践した「自分の妄想を笑い飛ばす」という行為は、
まさに**“自然な心理療法”**だったのです。

💡 ポイント：
不安を消そうとするのではなく、
「ああ、また妄想してるな」と笑いながら受け流す。
それが、心配性克服の第一歩です。

心配を笑い飛ばすための3つのステップ

ホワイティング氏の教えを、現代の私たちにも実践できる形に整理してみましょう。

① 「最悪の想像ノート」を書いてみる

頭の中の不安は、書き出すだけで客観的になります。
そして一週間後、そのノートを読み返してみましょう。
9割以上の不安は「何も起こらなかった」と気づくはずです。

② 「過去の“心配の外れ実績”」を数える

ホワイティング氏のように、
「今まで何度も心配してきたけど、実際どうだった？」と考えてみてください。
現実とのギャップを笑うことが、最強の解毒剤です。

③ 「不安を笑える相手」をつくる

ひとりで悩むと、思考はどんどん深刻になります。
信頼できる友人や家族に「こんな心配してたんだよ（笑）」と話すだけで、
不安の力は半分になります。

「心配しすぎて死ぬ人はいない」

デール・カーネギーはこう語ります。

「心配しすぎて墓穴を掘っていたのです。」

皮肉なことに、心配しすぎる人ほど健康で長生きします。
なぜなら、慎重で注意深く、リスクを避ける行動を取るからです。

パーシー・ホワイティング氏も、
心配しながらも現実には“いたって健康”で生き続けました。

そして彼は最後に笑って言います。

「この十年間、死ぬような思いをしたことは一度もありません。」

まとめ：心配事の9割は「起きない」

私たちが抱える不安のほとんどは、
現実ではなく“頭の中の想像”です。

💬 「自分の妄想を笑い飛ばせ。」
― パーシー・ホワイティング

笑いは、恐怖を相対化し、心を軽くする最強の武器。
心配を真面目に受け止めすぎず、
「どうせまた考えすぎてるだけだ」と笑える自分になりましょう。

それこそが、
**「心配に支配されない自由」**を手に入れる一番の方法です。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。