「沈没船のデッキで椅子を並べるな」変化の時代に、効率化だけを求める人の末路。
「昨日の正解が、今日の不正解になる」 そんなめまぐるしいスピードで変化する現代社会において、あなたはただがむしゃらに「目の前の仕事」をこなしていませんか?
ビジネスの世界では、かつての大ヒット商品があっという間に売れなくなり、巨大企業でさえ一夜にして危機に陥ることが珍しくありません。
そんな時代に、最も危険なこと。 それは、**「間違った方向に、全力疾走してしまうこと」**です。
世界的な名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィーは、市場環境の変化を機敏にとらえ、正しい方向に資源を投じる**「リーダーシップ」**こそが、組織と個人の生存を決めると説いています。
私は理学療法士として働いていますが、リハビリでも「治りもしない間違った運動」を効率よく繰り返す患者さんは、残念ながら良くなりません。むしろ悪化します。
この記事では、変化の激しい時代に生き残るために必須の「コンパス(方向感覚)」の持ち方について解説します。 結論を言えば、「足元の効率(マネジメント)」を気にする前に、「進むべき道(リーダーシップ)」を見定める時間を持つことが、最大の防御策なのです。
ヒット商品が「一瞬」で消える時代
コヴィー博士は、ビジネスの厳しさをこう表現しています。
ビジネスの世界では市場がめまぐるしく変化し、消費者の嗜好やニーズをとらえて大ヒットした製品やサービスがあっという間にすたれることも珍しくない。
ガラケーからスマホへ、対面販売からECサイトへ。 消費者の「欲しいもの」や「買い方」は、ものすごい速度で変化しています。
この変化に気づかず、「うちは創業以来、このやり方だから!」と固執していたらどうなるでしょうか? どれだけ社員が優秀で、どれだけ効率よく商品を生産しても(マネジメントが優秀でも)、誰も買わない山のような在庫が出来上がるだけです。
「ジャングル」で必要なのは時計か、コンパスか?
コヴィー博士はよく、ビジネスを「ジャングルの探検」に例えます。
- マネージャー(管理者): 「斧を研げ! 作業手順をマニュアル化しろ! 効率よく草を刈るぞ!」と、現場の効率を上げようとします。
- リーダー(指導者): 一番高い木に登り、ジャングル全体を見渡してこう叫びます。 「おーい! この森は間違っているぞ!(進む方向が違うぞ)」
市場が変化しているのに、現場の効率(草刈りのスピード)ばかり上げても意味がありません。 「そもそも、この商品は今の市場で求められているのか?」 そう問いかけ、進むべき方向を示す「リーダーシップ」が先になければならないのです。
リハビリ視点:固執せずに「資源」を移す勇気
さらにコヴィー博士はこう続けます。
主体的で強力なリーダーシップによって絶えず消費者の購買行動や購買意欲など市場環境の変化を機敏にとらえ、正しい方向に経営資源を投じるのだ。
「正しい方向に経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投じる」とは、言い換えれば**「ダメな方向から撤退する勇気を持つ」**ということです。
理学療法のリハビリでも同じです。 ある治療法で効果が出なければ、私はすぐにその方法を捨て、別のプランに切り替えます。「せっかくこの治療法を勉強したから」と固執すれば、患者さんの回復が遅れるからです。
- サンクコスト(埋没費用)に縛られない。
- 「今」の市場(患者の状態)を見て、柔軟にリソースを配分する。
これができる人だけが、変化の波を乗りこなすことができます。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 市場の変化は激しく、昨日のヒット商品が明日には不要になることも珍しくない。
- 変化の時代に必要なのは、効率を上げる「マネジメント」よりも、正しい方向を示す「リーダーシップ」である。
- 過去の成功体験やサンクコストに固執せず、今の状況に合わせて資源を再配分する勇気が必要。
Next Action:一人戦略会議を開こう
あなたが経営者でなくても、自分の人生のリーダーはあなた自身です。 今週末、30分だけでいいので**「一人戦略会議」**を開いてみてください。
- 「今、自分が一生懸命やっていることは、将来も価値があることか?」
- 「はしごを掛ける場所(努力の方向)は間違っていないか?」
もし「方向が違うかも」と感じたら、勇気を持って軌道修正しましょう。 全力疾走する前に地図を確認する。その一瞬の「リーダーシップ」が、あなたの10年後を救います。
ビジネスの本質と、自分の人生を経営する視点を養いたい方は、**『7つの習慣』**が最強の教科書になります。特に第2の習慣(目的を持って始める)は、リーダーシップの核心を突いています。
