「私は平社員だから」は言い訳です。誰かと関わった瞬間にリーダーになる理由。
「私は管理職じゃないから、リーダーシップなんて必要ない」 「リーダーなんて柄じゃないし、責任を負いたくない」
そんなふうに、リーダーシップを「役職」や「肩書き」のことだと思い込んでいませんか?
もしそうなら、あなたは自分の持つ可能性を大きく狭めてしまっているかもしれません。
世界的な名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィーは、**「役職に関係なく、自立から相互依存(他者との関わり)の世界に入った瞬間、誰もがリーダーになる」**と定義しています。
私は理学療法士としてチーム医療に携わっていますが、現場を動かすのは必ずしも医師や師長とは限りません。一人の若手の「もっと患者さんの話を聴こう」という提案(リーダーシップ)が、チーム全体を変えることも多々あります。
この記事では、なぜ「全員がリーダー」なのか、そして他者と成功するために不可欠な「Win-Win」の思考法について解説します。
結論をお伝えすると、**「誰かに良い影響を与えようとした瞬間、あなたはすでにリーダーである」**という自覚が、仕事も人生も好転させる鍵なのです。
リーダーシップは「肩書き」ではない
コヴィー博士の言葉は、リーダーシップの定義を根底から覆します。
たとえあなたの社会的立場が社長やマネージャーではなくとも、自立から相互依存の領域に足を踏み入れた瞬間に、リーダーシップの役割を引き受けたことになる。あなた自身が他者に影響を与える立場になるからである。
私たちは一人で生きているわけではありません。 家庭では親として、職場では同僚として、友人関係では相談役として、常に誰かと関わり(相互依存)、影響を与え合っています。
この**「影響を与える」**という行為そのものが、リーダーシップなのです。 「私なんて…」と謙遜していても、あなたが不機嫌な顔をしていれば、周りの空気を悪くする(悪い影響を与える)というリーダーシップを発揮してしまっていることになります。
なぜ「Win-Win」が必要なのか?
他者に影響を与えるリーダーとしての役割を引き受けた時、最も大切な習慣は何でしょうか。 それが**「Win-Winを考える」**ことです。
効果的な人間関係におけるリーダーシップの習慣は、「Win-Winを考える」である。
勝ち負け(Win-Lose)の世界からの脱却
多くの人は、競争社会の中で「Win-Lose(自分が勝ち、相手が負ける)」の脚本を刷り込まれています。
- 「同僚を出し抜いて出世する」
- 「論破して相手を黙らせる」
しかし、相互依存(チーム)の世界では、これは自殺行為です。 例えば、野球チームでピッチャーだけが目立とうとして、野手を無視したらどうなるでしょうか? チームは崩壊し、結局ピッチャーも負けます(Lose-Lose)。
リハビリ現場のWin-Win
理学療法のリハビリも、完全なWin-Winの関係です。
- セラピストのWin: 患者さんが良くなり、職業的達成感を得る。
- 患者さんのWin: 体が良くなり、生活が楽になる。
もしセラピストが「自分の手柄」だけを考えて無理な治療をすれば(Win-Lose)、患者さんは怪我をします。逆に、患者さんのわがままを全て聞いてリハビリをしなかったら(Lose-Win)、身体は良くなりません。
「あなたも勝ち、私も勝つ。そうでなければ取引しない」 この姿勢を貫ける人だけが、長期的に良好な人間関係を維持できるリーダーなのです。
今日から「名もなきリーダー」として生きる
社長でなくても、今日からリーダーシップは発揮できます。
- 誰かが困っていたら、手伝う(Win-Winの提案)。
- 場の空気が重かったら、明るい話題を出す(良い影響力)。
- 相手の利益にもなり、自分の利益にもなる「第3の案」を考える。
「誰かがやってくれるだろう」という依存的な考えを捨て、「私がこの場を良くするんだ」という主体性を持った時、あなたの周りには自然と協力者が集まってくるはずです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- リーダーシップとは「役職」ではなく、他者と関わり「影響を与える」という役割そのものである。
- 自立した個人が手を組む「相互依存」の世界では、全員がリーダーとしての自覚を持つ必要がある。
- 長期的に良好な関係を築く唯一の方法は、お互いの利益を追求する「Win-Win」の姿勢である。
Next Action:会話の主語を「私たち」に変える
明日、誰かと何かを決めるとき、主語を「私(I)」から**「私たち(We)」**に変えてみてください。
- ×「(私は)これがやりたい」
- 〇「(私たち)お互いにとって、一番いい方法はなんだろう?」
この問いかけができる人が、真のリーダーです。 役職に関係なく、周囲から信頼され、影響力を持つための具体的なステップを学びたい方は、**『7つの習慣』**の「第4の習慣」以降を熟読してください。人間関係の景色が一変します。
