自己啓発

トラブルを穏便に解決したいあなたへ。戦わずに「第3の案」を生み出す思考法

taka

仕事やプライベートで揉め事が起きたとき、「後で言った言わないにならないように、念書を書かせよう」「これ以上やるなら法的手段も辞さない」と、身構えてしまうことはありませんか?

自分を守るためには必要なことかもしれません。しかし、最初から「戦う準備」をしてしまうと、失うものが大きすぎるとしたらどうでしょう?

世界的な名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィーは、**「法的手段をあまりに早い段階から視野に入れると、シナジー(相乗効果)とは逆のプロセスを生み出してしまう」**と警告しています。

私は理学療法士として医療に関わっていますが、これは「最初から手術(外科的処置)ありきで考える」ことに似ています。手術は強力ですが、身体に傷を残し、自然治癒力を無視する側面があるからです。

この記事では、なぜ「法律のパラダイム(戦いのルール)」が人間関係の可能性を狭めるのか、そして対立を超えた創造的な解決策を生むにはどうすればよいのかを解説します。

結論から言えば、**「鎧(よろい)を着込んだままでは、相手と握手はできない」**のです。

「裁判」は人間関係の「外科手術」である

コヴィー博士の言葉を深掘りしてみましょう。

状況によっては法的手段に訴えなければならないこともある。しかしそれはあくまでも最後の手段である。

もちろん、悪質な犯罪や権利侵害に対しては、断固たる法的措置が必要です。 しかし、ビジネスの交渉や近隣トラブル、離婚協議などの初期段階で「法律」を持ち出すのは危険です。

医療で言えば、法的手段は**「外科手術」**のようなものです。 悪い部分を切り取ることはできますが、体にメスを入れるため、必ず「傷跡(しこり)」が残ります。 まずは、対話や環境調整といった「保存療法(リハビリ)」を尽くすべきであり、いきなりメスを握ってはいけないのです。

恐怖が「シナジー」を殺すメカニズム

なぜ早い段階で法律をチラつかせるとダメなのでしょうか?

あまりに早い段階から裁判を視野に入れたら、(中略)恐れと法律のパラダイムに縛られ、シナジーとは逆の思考と行動プロセスを生み出してしまう。

鎧を着た相手と仲良くできますか?

「法的手段」を考えるということは、心に「鎧」を着て、「盾」と「剣」を持つということです。 あなたが武装して現れたら、相手はどうするでしょうか? 当然、相手も慌てて武装します。

  • 武装状態(法律のパラダイム): 「揚げ足を取られないようにしよう」「証拠を残そう」「相手を負かそう」 → お互いに心を閉ざし、最低限の妥協点を探るだけ(1+1=1.5、あるいはマイナス)。
  • 非武装状態(シナジーのパラダイム): 「本当は何に困っているの?」「もっといい方法はないか一緒に考えよう」 → お互いに知恵を出し合い、想像以上の解決策を生む(1+1=3以上)。

恐怖や不信感をベースにした関係からは、決して創造的なアイデア(シナジー)は生まれません。

政治・経済に見る「制裁」の限界

これは個人の問題だけでなく、政治や経済でも同じです。

外交において、最初から「経済制裁」や「武力行使」をチラつかせて対話を始めると、相手国は硬化し、戦争のリスクが高まります。 一方で、お互いの国益(Win-Win)を模索し、文化交流や経済協力を深めた場合、予想もしなかった新しい市場や平和が生まれることがあります。

「法」や「力」は、あくまで秩序を保つための**「最後の砦」**です。 最初から砦に引きこもっていては、外の世界の豊かさを手に入れることはできません。

まずは「信頼」のリスクを取ろう

もしトラブルに直面したら、弁護士に電話する前に、以下のことを試してみてください。

  1. 相手の話を徹底的に聴く(第5の習慣) 「何が不満なのか」「どうしたいのか」を理解しようとする姿勢を見せる。
  2. 自分の弱みも見せる 「私も困っている」「争いたくない」と素直に伝える。鎧を脱ぐ勇気を持つ。

相手を信じて無防備になることは「リスク」です。 しかし、そのリスクを取った人だけが、相手の心を開き、争いではなく協力によって問題を解決する「シナジー」という果実を味わえるのです。


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まとめ・アクションプラン

今回の記事の要点をまとめます。

  1. 法的手段は「最後の手段(外科手術)」であり、最初から使うと人間関係に修復不可能な傷を残す。
  2. 「訴えてやる」という防衛的な態度は、相手にも防衛を強要し、創造的な解決策(シナジー)を殺してしまう。
  3. 対立を超えてより良い結果を得るには、恐怖ではなく信頼に基づいた対話が必要。

Next Action:そのメール、送信前に見直そう

もし今、誰かと揉めていて、相手に主張を伝えるメールやLINEを送ろうとしているなら、送信ボタンを押す前に一度読み返してください。

「この文章は、相手を警戒させる『武装した文章』になっていないか?」 「相手と一緒に解決策を探そうとする『招待状』になっているか?」

「念のため言っておきますが…」という言葉を、「もしよければ一緒に考えたいのですが…」に変えるだけで、未来は大きく変わります。

対立を「協力」に変える魔法のようなプロセス(シナジー)を学びたい方は、**『7つの習慣』**の第6の習慣をぜひ読んでみてください。争いに疲れたあなたの心に、新しい光を当ててくれるはずです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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