新渡戸稲造『世渡りの道』に学ぶ——いつも「ありがたい」という気持ちをもて
taka
Taka Knowledge Output
ローマ皇帝にして哲学者でもあったマルクス・アウレリウスは『自省録』にこう書き残しています。
「何をするにしても、嫌々するな、利己心からするな、考えなしにするな、逆らってするな。自分の考えを美辞麗句で飾り立てるな。余計な言葉や行いを慎め……いつも朗らかにし、外に助けを求めず、他人に心の平穏を与えてもらおうと思うな。他人に支えてもらわずとも自分の力でしっかり立てるようにせよ。」
絶対的な権力を持ち、あらゆる人が耳を傾ける立場にあった皇帝が、自らに「余計な言葉や行いを慎め」と言い聞かせていたのです。これは私たちにとっても大きな示唆となります。
多くの場合、人生では「少ないほどよい」という原則が当てはまります。
特に言葉については、古今東西の賢人が繰り返し説いてきました。
詩人フィリップ・レヴィンは『誰もが言葉を発する場面でけっして言葉を発しない男』という詩を書き、沈黙の力を描きました。
また、シェイクスピアの『ハムレット』では、王妃ガートルードが饒舌なポローニアスに向かってこう言います。
「言葉のあやより、肝心の用件を。」
これは私たちが会議や日常会話でしばしば忘れがちな、簡潔さの大切さを突きつけます。
マルクス・アウレリウスは権力者でありながら、自らを律していました。
彼はこう心得ていたのです。
この姿勢は、まさに「少ないほどよい」の哲学そのものです。
「少ないほどよい」という原則は、贅沢を否定するためのものではありません。
むしろ、私たちが本当に大事にすべきものを浮き彫りにするための基準です。
マルクス・アウレリウスが自らに言い聞かせたように、余計な言葉や行いを削ぎ落とし、内なる強さで立つこと。
それこそが、シンプルでありながら力強い人生の土台になるのです。