自己啓発

「執着しない心が、人生を自由にする」――新渡戸稲造『人生雑感』に学ぶ、心を軽く生きる知恵

taka
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「名誉も富も悪ではない」――新渡戸のバランス感覚

新渡戸稲造は『人生雑感』の中でこう述べています。

名誉も富貴も、それが自然に来るものであれば、それ自体悪いということはない。
また、美しい服や着物は贅沢だからそれらを着てはならないということもない。

この言葉には、新渡戸らしい**中庸(ちゅうよう)**の精神が流れています。
彼は、富や地位、美しさといった“世俗的な価値”を否定していません。
むしろ、それらを得ること自体は自然であり、人間として悪ではないとしています。

では、何が問題なのか。
新渡戸はこう続けます。

問題はそれらに心がとらわれて執着することだ。

つまり――
富や名誉よりも、「それを離せなくなる心」が人を不幸にするのです。


「執着」が生む心の不自由

執着とは、欲しいものや地位に心を縛られ、
それを失うことを恐れる状態のこと。

  • お金が減るのが怖い
  • 評価が下がるのが怖い
  • 人に負けるのが怖い

この「怖れ」が強くなるほど、人は自由を失います。
そして、その不安を埋めようとして、さらに執着が強くなる――。
それが、心の悪循環です。

新渡戸は、こうした執着の鎖を断ち切ることで、
**「本当の幸福」や「精神の独立」**を得られると説いています。


「執着しない」とは、捨てることではない

「執着を捨てる」と聞くと、
すべてを手放して質素に生きることだと誤解されがちです。

しかし、新渡戸が言う「執着しない」とは、
**“持っていても心を支配されない”**ということ。

たとえば、

  • お金を持っていても、それに心を奪われない
  • 地位を得ても、それで他人を見下さない
  • 評価を受けても、それを目的にしない

持っていても手放せる心、
持たなくても満たされている心。
それが「執着のない生き方」です。


「執着」を手放す3つの実践法

新渡戸の思想を現代で実践するために、
日常で意識できる3つの方法を紹介します。

① 「ありがたい」と思ったら、「いつか離れる」とも思う

ものも人も、永遠には続かない。
今ある幸せに感謝しつつ、「これは一時的な恵み」と意識することで、
手放す準備が自然にできます。

② 「手放せないもの」を書き出してみる

自分が何に執着しているのかを可視化すると、
“心が縛られている対象”が見えてきます。
お金、地位、他人の評価――それを知ることが第一歩です。

③ 「もし失っても、自分はどう生きるか?」と問う

想像の中で一度手放してみる。
それでも「大丈夫」と思えるなら、あなたはすでに自由です。


「心の軽さ」が幸福を呼ぶ

新渡戸が『人生雑感』で説いたのは、
**「心の重荷を降ろす勇気」**でした。

執着を持つ人は、いつも比較し、競い、恐れています。
一方で、執着を手放した人は、

  • 今あるものを楽しみ、
  • 他人の成功を祝福し、
  • 変化を恐れず生きる。

その心の軽やかさが、人間を幸福にするのです。


「執着のない心」は、人間関係も豊かにする

執着は、人にも向かいます。
「相手を支配したい」「期待どおりでいてほしい」という気持ちは、
愛情ではなく執着です。

新渡戸の言葉を借りれば、

「人を愛するとは、相手の自由を尊重すること」
です。

物だけでなく、人に対しても“手放す勇気”を持つことで、
関係はより穏やかで信頼に満ちたものになります。


現代へのメッセージ――「持たない」ではなく「とらわれない」

現代社会は、「もっと」「まだ足りない」という思考で溢れています。
SNSでは他人の生活と比較し、
所有や成功を“幸福の証”として見せる文化が根付いています。

しかし、新渡戸稲造の言葉は静かに問いかけます。

「あなたは本当に、それを手に入れるために生きているのか?」

ものを持つことは悪ではない。
けれど、それに心を奪われた瞬間、
人は自由を失い、本当の豊かさを見失うのです。


まとめ:「手放す勇気」が、心の余白をつくる

新渡戸稲造の「物事に執着するな」という教えは、
単なる禁欲のすすめではありません。
それは、**「心を自由にするための修養」**です。

  • 富も名誉も悪ではない
  • ただし、心を支配されてはいけない
  • 執着を手放すと、人生が軽やかになる

執着を減らすことは、失うことではなく、自由を取り戻すこと
心に余白が生まれたとき、初めて人は本当の意味で豊かになれるのです。

新渡戸稲造の言葉は、
現代に生きる私たちにこう語りかけています。

「幸せとは、何を持つかではなく、何にとらわれないかで決まる。」

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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