自己啓発

ライフスタイルの原型は変えられるのか?|アドラー心理学が語る子ども時代の影響

taka

「人は性格を変えられるのか?」
多くの人が抱く疑問に対し、心理学者アルフレッド・アドラーは独自の視点を提示しました。

著書『生きる意味を求めて』の中でアドラーはこう述べています。

人生の最初に学んだライフスタイルの原型から離れることは難しい。
大人になって変わったように見えても、それは異なる状況の中で違った形で表れているにすぎない。

つまり、私たちが「性格が変わった」と感じるのは、本質的な変化ではなく、同じ原型が異なる場面で表れているだけ だというのです。


ライフスタイルの原型とは何か

アドラー心理学におけるライフスタイルとは、その人の世界の捉え方・行動パターンのことです。
子ども時代に家庭環境や周囲との関わりを通じて形成され、「自分はどういう存在か」「世界はどんな場所か」という根本的な信念を作り上げます。

たとえば――

  • 「認められるには努力が必要」と学んだ子 → 大人になっても常に努力し続ける
  • 「自分は守られない」と学んだ子 → 大人になっても人を信頼せず警戒する
  • 「注目されなければ価値がない」と学んだ子 → 大人になっても目立つ行動を取る

このように、子ども時代に作られたライフスタイルの原型は、その後の人生に強く影響し続けます。


大人になって「変わったように見える」のはなぜか

私たちはしばしば「昔は内気だったのに、今は社交的になった」といった変化を語ります。
しかしアドラーの視点では、それは本質的な変化ではなく、同じライフスタイルが異なる形で表れている のです。

例:

  • 子どもの頃は「注目を集めたい」という欲求から、家でわがままを言っていた
  • 大人になってからは同じ欲求が「仕事で成果を出す」という形に変わった

根底にあるライフスタイルの原型は同じでも、状況に応じて表れ方が変わるため、あたかも性格が変わったように見えるのです。


「地が出る」とはライフスタイルが表れること

アドラー自身も、普段は温厚で穏やかな人柄でした。
しかし「フロイトの弟子ですか?」と聞かれると烈火のごとく怒ったといいます。

このエピソードは、幼い頃に形成されたライフスタイルが瞬間的に露わになった例です。
日本語の「地が出る」という表現は、まさにライフスタイルの原型が顔を出した瞬間を指しているといえるでしょう。


ライフスタイルはまったく変えられないのか?

アドラーは「原型から完全に離れるのは難しい」と述べました。
しかし、これは「変われない」という意味ではありません。

大切なのは――

  • 意識してライフスタイルを理解すること
  • その原型をどう使うかを選び直すこと

たとえば、劣等感から「目立ちたい」と思うライフスタイルを持っていたとしても、それを破壊的な方向ではなく、創造的・建設的な方向に活かすことは可能です。


教育や子育てにおける示唆

この考え方は、子育てや教育にも重要な視点を与えてくれます。

  • 子どものライフスタイルは早期に形成されるため、勇気づけや共同体感覚を育む関わりが大切
  • 「性格だから仕方ない」と決めつけるのではなく、「どんなライフスタイルが育っているのか」を見極める
  • ネガティブなライフスタイルも、方向づけ次第で社会に役立つ形に変えられる

まとめ

アドラー心理学は、人の性格(ライフスタイル)の原型は子ども時代に形成され、大人になってから根本的に変えるのは難しいと考えます。
しかし同じ原型であっても、その表れ方は環境や状況によって変わります。

大切なのは、自分や他者のライフスタイルの原型を理解し、それを建設的な方向へ活かすことです。
「変えられない」と諦めるのではなく、「どう使うかを選び直せる」と捉えることで、人生の可能性は大きく広がるのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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