人生がハードモードなのは「重力」に逆らっているから。絶対に勝てない「灯台」の話
「私はこのやり方が正しいと思う!」 「なんで私の気持ちをわかってくれないの?」
私たちはつい、自分の感情や都合を優先してしまいがちです。しかし、どれだけ強く願っても、**「絶対に動かせないもの」**にぶつかって挫折した経験はありませんか?
それは、あなたの努力不足ではありません。**「灯台(自然の法則)」**に逆らって進もうとした結果かもしれません。
理学療法士として人体の仕組みを見ていると痛感します。どんなに患者さんが「明日走りたい!」と願っても、骨がくっつくまでの期間(自然の治癒法則)を無視して走れば、再骨折してさらに悪化します。
この記事では、スティーブン・R・コヴィー博士が提唱する**「客観的な現実=灯台の原則」**について解説します。
結論から言うと、私たちは法則を破ることはできません。法則に逆らって、自分自身が傷つくだけです。 成功への近道は、この「動かない法則」を理解し、味方につけることだけなのです。
現実は「灯台」のように動かない
コヴィー博士は、私たちが決して無視できない「客観的な現実」を、**「灯台」**に例えて説明しています。
「客観的な現実」、つまり現実の場所は、灯台の原則で成り立っている。(中略)長く繁栄した組織や家族の根っことなっている自然の法則である。
このメタファーには、有名なエピソードがあります。
濃霧の夜、ある戦艦が前方に光を見つけました。 艦長は信号を送ります。「衝突コースにある。進路を20度変更せよ」 相手から返信が来ます。「そちらが20度変更せよ」 激怒した艦長は叫びます。「私は戦艦の艦長だ! そちらが変更せよ!」 すると相手から返信が来ました。 「こちらは灯台だ。そちらが変更せよ」
「原則」には誰も勝てない
この話が教えてくれるのは、「原則(灯台)」は絶対に動かないということです。
- 物理の法則: ビルの10階から飛び降りて「私は重力を信じない!」と叫んでも、必ず落ちます。
- 農耕の法則: 春に種を蒔かずに、秋に収穫することはできません。
- 信頼の法則: 嘘をつき続けて、長期的に信頼されることは不可能です。
これらが「原則」です。 権力者だろうが、大富豪だろうが、このルールを曲げることはできません。
人間の成長と幸福を左右する「自然の法則」
私たちは時々、この法則を無視して「近道」をしようとします。
「勉強せずに成績を上げたい」 「暴飲暴食しても健康でいたい」 「相手をコントロールして、自分を好きにさせたい」
しかし、これらは全て**「灯台に向かって突っ込む船」**と同じです。 一時的には進めたとしても、最終的には座礁して沈没(破綻)します。
医療や経済も「原則」の上にある
私の専門であるリハビリの分野も、完全にこの「自然の法則」に従っています。 筋肉をつけるには負荷が必要ですし、傷が治るには時間が必要です。「魔法」はありません。
経済も同じです。バブル経済がなぜ崩壊するのか? それは「実体のない価値」を膨らませ続けた結果、**「価値と価格は収束する」という経済の引力(原則)**によって、あるべき場所(地面)に引き戻されるからです。
長く繁栄している企業や家族は、例外なくこの「原則」を根っこに持っています。 誠実であること、貢献すること、公正であること。これらは流行り廃りのある「戦術」ではなく、**時代を超えた「法則」**だからです。
「地図」を「灯台」に合わせよう
前の記事で「頭の中の地図(パラダイム)」の話をしました。 多くの悩みは、「自分の地図」と「現地の灯台」がズレていることから生じます。
「なんで灯台がそこにあるんだ! 邪魔だ!」と怒っても意味がありません。 賢明な航海士(成功者)は、灯台の位置を確認し、自分の航路(行動)の方を修正します。
- 「あ、この言い方は信頼を損なう法則に触れるな」→ 言い方を変える。
- 「この食事は健康の法則に反するな」→ 食生活を変える。
自分を「原則」に合わせること。これこそが、謙虚さであり、真の成長です。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 世の中には、重力のように絶対に変えられない「原則(灯台)」がある。
- 原則を無視して近道しようとすると、必ず自分が傷つく(座礁する)。
- 成功と幸福は、自分の行動を「原則」に合わせた時に初めて得られる。
「うまくいかないな」と思った時は、あなたが悪いわけでも、世界が意地悪なわけでもありません。 ただ、「灯台の位置」を見落としているだけかもしれません。
Next Action:原則と照らし合わせる
何か悩みがある時は、それが「自然の法則」に反していないかチェックしてみましょう。
- 健康の悩み: 睡眠・食事・運動の法則を無視していませんか?
- 人間関係の悩み: 「与えるものが受け取るもの(返報性の法則)」を無視していませんか?
- 仕事の悩み: 「成果は能力と努力の掛け算」という法則を無視していませんか?
もし、より深くこの「原則」について学びたい方は、書籍**『7つの習慣』**を辞書のように手元に置いておくことをお勧めします。迷った時、必ず正しい航路を示してくれる「灯台」となる一冊です。
