まだ部下の監視をしてるの?マネージャーの仕事は「オイル拭き」だけでいい
「部下に仕事を任せたはずなのに、気になって何度も進捗を聞いてしまう……」 「結局、修正指示ばかりで、自分が手を動かしているのと変わらない……」
リーダーやマネージャーの立場にいる方なら、一度はこんな無力感を感じたことがあるのではないでしょうか。
「任せる勇気」が必要だと頭ではわかっていても、放置すれば事故(ミス)が起きる。だから監視する。すると部下はやらされ仕事になる……。この悪循環は辛いですよね。
世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士は、マネージャーの理想像を、ある意外なものに例えています。
それは、**「カーレースのペースカー」**です。
この記事では、部下が自ら考え、自ら動くようになるための**「Win-Win実行協定」**と、マネージャーが果たすべき本当の役割について解説します。
結論から言うと、**「最初に握手(協定)をしたら、あとはコースから外れること」**が、最強のチームを作る秘訣です。
マネージャーは「運転手」になってはいけない
多くのプレイングマネージャーは、部下の運転する車の「助手席」に乗り込み、横からハンドルを握ったり、ブレーキを踏んだりしがちです。これを「マイクロマネジメント(過干渉)」と呼びます。
しかし、コヴィー博士はこう言います。
「マネージャーはカーレースのペースカーのようなものだ」
ペースカーの役割とは?
F1などのカーレースを見たことはありますか? レースが始まる前や事故があった時、先頭を走って「基準となるスピード」や「コースの安全」を示す車がペースカーです。
そして、いざレース(本番の仕事)がスタートしたらどうするでしょうか? そうです。さっさとコース外に退避します。
もしペースカーがいつまでもコースに残って先導していたら、レーサー(部下)たちは全力を出せず、レースになりませんよね。 マネジメントもこれと同じです。**「最初に方向性を示したら、あとは邪魔をしない」**ことが重要なのです。
邪魔をしないための条件「Win-Win実行協定」
では、安心してコースから外れる(任せる)ためには何が必要でしょうか? それが**「Win-Win実行協定」**です。
これは単なる「業務命令」ではありません。仕事に取り掛かる前に、上司と部下の間で以下のことを明確に握手(合意)しておくことです。
- 望む成果: 「何を」「いつまでに」達成するのか?(やり方は問わない)
- ガイドライン: 守るべきルールや守らなくていい手順は何か?
- リソース: 使える予算、人員、ツールは何か?
- 評価と結果: 成功したらどうなるか? 失敗したらどうなるか?
「やり方」ではなく「結果」を握る
ポイントは、「やり方(How)」には口を出さず、「結果(Result)」について合意することです。
この協定さえ結べていれば、部下は「この範囲内なら、自分の好きにやっていいんだ!」と理解し、自分で自分を管理(セルフマネジメント)し始めます。 いちいち上司にお伺いを立てる必要がなくなるので、スピードもモチベーションも爆上がりするのです。
コースから外れた後、上司は何をするのか?
「えっ、じゃあ上司は暇になっちゃうの?」と思われるかもしれません。 いいえ、やるべき大事な仕事が残っています。
コヴィー博士はこう表現しています。 「路面に漏れ落ちたオイルをふき取るだけでいい」
つまり、部下が全速力で走れるように、**「障害物を取り除くこと」や「環境を整えること」**が上司の仕事になるのです。
- 部下が困っていたら相談に乗る(=ピットインの準備)。
- 他部署との調整をして、道を空ける(=コースの清掃)。
- 必要な予算やツールを用意する(=ガソリンの補給)。
「監視役(ジャッジ)」から、「支援役(ヘルパー)」に変わる。 これこそが、部下から信頼され、チーム全体の成果を最大化するマネージャーの姿です。
まとめ・アクションプラン
「任せる」とは、放任することではありません。最初にしっかり「合意」することです。
- マネージャーの仕事は「ペースカー」。方向性を示したら、さっさとコースから外れて部下に走らせる。
- 安心して任せるために、事前に「望む成果」や「ルール」を明確にする「Win-Win実行協定」を結ぶ。
- レースが始まったら、上司は「監視」をやめて、障害物を取り除く「支援(オイル拭き)」に徹する。
「忙しい上司」を卒業する Next Action
【次の仕事を頼むときの「言い方」を変える】 次に部下に仕事を依頼するとき、「やり方」を説明するのをやめてみてください。 その代わりに、こう聞いてみましょう。
「来週の会議までに、◯◯という状態(成果)にしてほしい。やり方は君に任せるけど、何か困りそうなことや、必要なサポートはある?」
最初にゴールとサポート内容だけを合意し、あとは「楽しみに待ってるよ」と笑顔で席に戻る。この「我慢」が、部下を劇的に成長させます。
