仕事ができない人の口癖は「あなた」。できる人の口癖は「私たち」。その決定的な違い
「あの人がやってくれないから」 「全部自分でやったほうが早い」
仕事や家庭で、こんなふうに**「他人のせいにする」か、逆に「一人で抱え込む」**か、どちらかの極端な状態になっていませんか?
実は、人間の成長には明確な**「3つのステージ」**があります。 今、自分がどのステージにいるかを知らないまま努力しても、空回りするだけです。
理学療法士として患者さんの回復を見ていると、全く同じ過程をたどります。「ベッドで寝たきり(依存)」から「一人で歩ける(自立)」へ。そして最終的には「社会の中で誰かと生きる(相互依存)」へ。
この記事では、コヴィー博士が提唱する**「成長の連続体」**について解説します。
結論から言うと、「自立(一人でできる)」はゴールではありません。 その先にある「相互依存(協力して大きな成果を出す)」こそが、私たちが目指すべき真の成功なのです。
人間が成長する「3つのステージ」
コヴィー博士は、人間の成長レベルを以下の3段階に分けて説明しています。 この図式を頭に入れるだけで、人間関係の悩みが驚くほど整理されます。
1. 依存(あなた=Youのパラダイム)
- 口癖: 「あなたが何とかして」「あなたのせいで失敗した」
- 状態: 赤ちゃんと同じです。誰かに世話をしてもらい、結果も他人のせいにします。
- 特徴: 何か問題が起きると、すぐに被害者ぶってしまいます。
2. 自立(私=Iのパラダイム)
- 口癖: 「私がやります」「私の責任です」「私の手柄です」
- 状態: 精神的な大人です。自分の力で目標を達成し、選択に責任を持ちます。
- 特徴: 優秀なビジネスパーソンの多くがここにいます。しかし、これがゴールではありません。
3. 相互依存(私たち=Weのパラダイム)
- 口癖: 「私たちならできる」「私たちで協力しよう」
- 状態: 自立した人間同士が、協力して「1+1=3以上」の結果を出す状態です。
- 特徴: 自分の才能と他人の才能を掛け合わせ、一人では不可能な大きな成果(シナジー)を生み出します。
「自立」止まりの人は損をしている
世の中の多くの人は、**「自立すること」**を最終目標にしがちです。 「人に頼ってはいけない」「自分で食っていけるようになれ」。 確かに、これは間違いではありません。
しかし、リハビリの現場でもそうですが、「一人で歩けるようになった(自立)」だけでは、人生の楽しみは半分です。 誰かと一緒に旅行に行ったり、チームスポーツを楽しんだりする(相互依存)ことで、人生の喜びは何倍にも膨れ上がります。
「一匹狼」の限界
仕事でも同じです。 「俺一人でやったほうが早い」という**「一匹狼(自立レベル)」**は、確かに個人の成績は良いかもしれません。 しかし、彼が病気で倒れたらプロジェクトは終わります。
一方で、**「相互依存レベル」**の人は、チームを組みます。 「僕は企画が得意。君は営業が得意。一緒にやれば、僕一人でやるより10倍売れるね」 このように考えられる人が、リーダーとして大きな成功を手にします。
「依存」から「相互依存」へのワープはできない
ここで一つ、非常に重要な注意点があります。 それは、「依存(You)」の状態の人が、いきなり「相互依存(We)」にはなれないということです。
「みんなで協力しよう!(We)」と言いながら、心の中が「(でも失敗したら)お前のせいな(You)」と思っている人がいたらどうでしょう? それはただの「おんぶに抱っこ」であり、チームワークではありません。
依存状態にある人は、望む結果を得るために他者に頼らなくてはならない。
まず、自分で自分の機嫌を取り、自分で責任を取れる「自立(I)」の状態になること。 その上で初めて、他人と対等に手を組む「相互依存(We)」への扉が開きます。
- ステップ1: 他人のせいにしない自分になる(自立へ)
- ステップ2: 一人で抱え込まず、他人の力を借りる勇気を持つ(相互依存へ)
この順番を間違えないことが、成長の鉄則です。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 「依存(You)」は他人のせいにする段階。まずはここを脱出しよう。
- 「自立(I)」は素晴らしいが、ゴールではない。一人の力には限界がある。
- 「相互依存(We)」こそが最強の状態。自立した個が手を組み、最大の成果を生む。
もしあなたが今、人間関係で苦しんでいるなら、主語をチェックしてみてください。 「あいつが(You)」と言っていませんか? あるいは「私が私が(I)」になりすぎていませんか? 目指すは「私たちが(We)」の世界です。
Next Action:主語を変えるトレーニング
明日からの会話で、意識的に**「私たち(We)」**を使ってみてください。
- × 依存: 「(あなたが)これやっておいて」
- × 自立: 「(私が)全部やっておきます」
- 〇 相互依存: 「私たちで、どう解決できるか話し合おう」
この言葉を使うためには、まず自分がしっかり立っている(自立している)必要があります。 「私たち」という言葉が自然に出るようになった時、あなたの周りには強力な協力者が集まっているはずです。
