自己啓発

「楽しみすぎない勇気」——菜根譚に学ぶ、ほどほどの美学

taka

「楽しいことは、いいことだ」
多くの人がそう考えていますし、実際その通りです。
人生を楽しむことは、生きるエネルギーを与えてくれる大切な要素です。

しかし、どんなに良いことでも「やりすぎる」と、かえって自分を苦しめてしまうことがあります。
中国の古典『菜根譚(さいこんたん)』は、その“ほどほどの美学”を教えてくれる書物です。

今回取り上げるのは、次の一節です。

「おいしい食べ物でも、食べすぎると胃腸を痛め、結果的に体を壊してしまう。ほどほどにしておけば、健康を損なうこともない。
また、遊びや楽しみは、夢中になりすぎると身を誤ることになる。ほどほどにしておけば、後悔することもない。」

この言葉は、**「楽しみもまた、節度が必要だ」**という教えを示しています。
快楽そのものを否定するのではなく、バランスの取り方を大切にする——そこに『菜根譚』の魅力があります。


■ 「楽しいこと」は、時に“毒”にもなる

たとえば、食事。
おいしいものを食べるのは幸せですが、食べすぎれば胃を壊します。
それと同じように、娯楽や趣味も、やりすぎると逆効果になることがあります。

  • ゲームに夢中になりすぎて生活リズムが崩れる
  • SNSにハマって他人と比べて落ち込む
  • 飲み会が続いて体調を崩す

これらはすべて、「楽しみのバランスを失った結果」です。
どんなに楽しいことであっても、“依存”に変わった瞬間に、自分をコントロールする力を失うのです。

『菜根譚』が教えているのは、「楽しむな」ではなく、「楽しみすぎるな」。
そこには、古人の知恵と、現代にも通じる深い人間理解が込められています。


■ 「ほどほど」を保つことは、自分を大切にすること

「ほどほどに楽しむ」というと、我慢や制限のように聞こえるかもしれません。
けれど実際は、自分を壊さないための優しさでもあります。

たとえば、

  • 飲み会を一軒で切り上げて、次の日も気持ちよく起きる
  • ゲームやSNSを楽しんでも、時間を決めて切り替える
  • 仕事に夢中になりすぎず、休む時間を確保する

これらは「抑える」というより、「整える」感覚です。
楽しみをコントロールできる人ほど、長く幸せを保てます。
まさに『菜根譚』の言う“ほどほどの知恵”が、心の安定につながるのです。


■ 「楽しみのバランス」を整える3つのヒント

  1. 「今だけ」ではなく「あとで」を考える
     目の前の快楽は一瞬ですが、その後に残る影響は長いもの。
     「この後、自分がどう感じるか?」を意識すると、自然と節度が生まれます。
  2. 「やめ時」を決めておく
     楽しいことほど、終わりを決めないとズルズル続いてしまいます。
     あらかじめ時間や回数を区切ることで、気持ちよく次のことに切り替えられます。
  3. 「楽しい」を目的にしすぎない
     楽しみは人生のスパイスであり、メインディッシュではありません。
     目的を“楽しみ”に置くと、依存になりやすい。
     “成長”や“感謝”を軸に置くことで、楽しみ方の質が変わります。

■ 「ほどほどの人」が、結局いちばん幸せになる

現代社会では、「もっと楽しもう」「もっと刺激を!」というメッセージが溢れています。
けれど、『菜根譚』はその逆を行きます。

「足るを知る人は、常に楽しい」——これは東洋思想に共通する考え方です。
楽しみを追いすぎると、足りないものばかりが見えてしまう。
しかし、「これで十分」と思える人は、どんな環境でも幸せを感じられます。

つまり、“ほどほど”とは、幸せを長続きさせる技術なのです。


■ まとめ:楽しみは、控えめだからこそ美しい

  • 楽しみすぎると、心と体を壊す
  • ほどほどにすれば、後悔なく長く続けられる
  • 「足るを知る」ことで、日常がもっと豊かになる

『菜根譚』のこの一節は、現代の“やりすぎ社会”にこそ響くメッセージです。
楽しみは悪ではありません。
むしろ、上手に楽しむことこそ、人生の知恵なのです。

今日も「ほどほどに」楽しむことで、心の中に余白と幸福を残していきましょう。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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