「やらなければならないことに、果敢に迅速に取り組むのが徳である」――セネカ『倫理書簡集』のこの一節は、怠惰や散漫に流されがちな私たちに響く言葉です。心ここにあらずのまま仕事をこなすのは、愚か者のすることだと彼は断じています。
やる気が出ないときの最初の質問
作業を始めてもすぐにだるくなったり、イライラして進まないとき、まず自分に問いかけてみましょう。
- 「なぜこれをしているのだろう?」
- 「これは本当に必要なことだろうか?」
もし必要なことであれば、次の問いに進みます。
- 「なぜ気が進まないのか?」
- 「不安? 悪意? それとも疲れ?」
原因を見極めれば、やる気のなさも単なる曖昧な感情ではなく、対処可能な課題に変わります。
誰かが説明してくれるのを待たない
セネカは、ダラダラと作業を進めながら「そのうち誰かが理由を説明してくれる」と期待する態度を戒めています。口先では「イエス」と言いながら、行動では「ノー」を示すような人間にはなるな、ということです。自分の行動の意味を理解し、主体的に取り組む姿勢が不可欠です。
スティーブ・ジョブズの教え
アップルを世界的企業へと成長させたスティーブ・ジョブズも、同じ視点を持っていました。彼は2005年、『ビジネス・ウィーク』誌でこう語っています。
「量より質のほうがずっと大事です……ホームランを一回打つほうが、二塁打を二回打つよりずっとよいのです」
つまり、数をこなすよりも、一つひとつを意味あるものにすることが重要なのです。やる気が出ないときほど、目の前の仕事の「質」を意識することが大切です。
実践のステップ
- 目的を再確認する → その仕事が自分や他者にとってどう役立つか考える。
- 原因を特定する → 疲れているなら休む。不安なら計画を立てる。
- 小さく区切る → 「最初の5分だけやる」と決めて取り組む。
- 質を意識する → 量を追うのではなく、意味のある成果を目指す。
まとめ
やる気が出ないとき、セネカの教えは「目的を思い出し、散漫さを克服せよ」と語ります。ジョブズの言葉が補強するように、量ではなく質を重視することが、心を再び集中させる鍵です。今日の小さな行動を意味あるものに変えることで、やる気は自然と戻ってくるでしょう。