不満を垂れず、弁明もせず|マルクス・アウレリウスとディズレーリに学ぶ前向きな生き方
「宮廷生活についての不平をこれ以上ほかの人に聞かせてはならぬ。もちろんお前の耳にも」
ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』に記された言葉です。
皇帝という地位にあっても、日常には大小さまざまな不満や責任が降りかかります。そんな中で彼は、自分自身にも「不平を言うな」と言い聞かせました。
これは現代の私たちにも通じる教えです。どんなに恵まれた人でも不満を抱くもの。むしろ恵まれるほど、さらに小さなことに不満を言う傾向すらあります。しかし、その不満や愚痴は、自分を前に進める力にはならないのです。
不満はどこから生まれるのか
私たちはよく「こんな仕事は嫌だ」「もっと環境がよければ」「あの人が悪い」と口にしてしまいます。
しかし、冷静に考えてみれば、不満は環境そのものからではなく、自分の心の状態から生じています。
マルクス・アウレリウスは、皇帝という重責を「嫌々ながら」務めていたと言われています。権力や名声を手にしても、不満や不快感は消えない。むしろ責任が増えれば不満も増える――これは誰にでも思い当たることではないでしょうか。
ディズレーリのモットー「不満を垂れず、弁明もせず」
ここで思い出されるのが、19世紀のイギリス首相 ベンジャミン・ディズレーリの言葉です。
彼のモットーは「不満を垂れず、弁明もせず」。
不満を言うのは簡単です。弁明や言い訳をするのも簡単です。しかし、それを繰り返しても状況は改善しません。むしろ、責任を回避し続けることで、信頼を失い、自分自身の成長の機会を奪ってしまいます。
一方で、不満を口にせず、言い訳をしない人はどう映るでしょうか。おそらく周囲からは「信頼できる人」「前向きな人」と見られ、その姿勢が新たなチャンスを引き寄せるのです。
不満も弁明も手放したとき、得られるもの
不満や言い訳をやめることは、自分に余計なストレスを与えないための習慣でもあります。
- 不満をやめると心が軽くなる
不平を言うたびに、心は現状への否定でいっぱいになります。やめるだけで気持ちは前向きになります。 - 言い訳をやめると責任感が育つ
弁明せずに結果を受け止めれば、次の行動に集中できます。これは信頼を築く大きな力です。 - 周囲からの評価が変わる
「不満を言わない人」「言い訳をしない人」は、それだけで安心感を与え、周囲を前向きにします。
実践のための3つの工夫
- 不満を言いそうになったら感謝に変える
「仕事が大変だ」ではなく「働ける環境がある」と言葉を切り替える。 - 弁明の代わりに改善策を伝える
「忙しくてできませんでした」ではなく「次回はこの方法で対応します」と話す。 - 不満や言い訳を書き出して客観視する
頭の中で繰り返すより、紙に書くと「大したことではない」と気づけることが多い。
まとめ
マルクス・アウレリウスとディズレーリが示したように、真に強い人は「不満を言わず、弁明をしない」姿勢を貫いています。
不満や言い訳は誰でも簡単にできることです。ですが、それを習慣にしてしまえば、人生は前に進みません。逆に、不満を抑え、弁明を控えることで、心は落ち着き、周囲の信頼を得られます。
あなたも今日から、「不満を垂れず、弁明もせず」をモットーにしてみませんか? その小さな実践が、人生をより前向きで豊かなものに変えていくでしょう。
