なぜ練習しても上達しないのか?「上級者のフリ」をやめれば劇的に伸びる理由
新しいスキルを学ぶとき、「手っ取り早く上達したい」「初心者だと思われたくないから、格好よくやりたい」と思ったことはありませんか?
その気持ち、痛いほどよくわかります。誰だって恥をかきたくはありません。
しかし、世界的なベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィーは、**「成長のプロセスにおいて、近道は絶対に不可能だ」**と断言しています。
もし、基礎もないのに上級者のフリをしたらどうなるか? ポジティブに「自分はできる!」と思い込むだけで、プロに勝てるのか?
答えは「NO」です。それどころか、近道をしようとすることで、かえって成長を止めてしまうことさえあります。
私は理学療法士としてリハビリに関わっていますが、身体の回復過程でも「段階を飛ばそうとする人」ほど、怪我を再発させたり、変な癖がついたりして苦労します。
この記事では、なぜ私たちが「プロセス」を大切にしなければならないのか、その理由と正しい成長のステップについて解説します。 結論から言うと、**「今の自分の実力(未熟さ)を素直に認めること」**こそが、最短の成長ルートなのです。
見栄を張っても「実力」はバレる
コヴィー博士は、テニスを例に挙げてこう問いかけています。
仮にあなたがテニスの初心者で、格好良く見せたいがために上級者のようにプレーしようとしたらどうなるだろう。ポジティブ・シンキングだけでプロに太刀打ちできるだろうか。
想像してみてください。ラケットの握り方も知らない初心者が、プロの動画を見て「派手なスマッシュ」のフォームだけを真似している姿を。
おそらくボールは場外ホームランか、空振りでしょう。どれだけ頭の中で「私はウィンブルドンの選手だ!」とポジティブに念じても、筋肉や神経が追いついていなければ、現実は残酷です。
ポジティブ・シンキングの限界
「思考は現実化する」という言葉がありますが、それは「行動と努力」が伴って初めて成立します。
- 正しいポジティブ: 「練習すれば必ず上手くなる!」と信じて、地味な素振りを続ける。
- 間違ったポジティブ: 「自分は上手い!」と思い込んで、基礎練習をサボる。
後者は単なる「自己欺瞞(自分を騙すこと)」です。実力不足をごまかすための見栄は、プロや経験者から見れば一瞬で見抜かれてしまいます。
自然のプロセスには「順序」がある
成長には、絶対に飛ばせない順序があります。
- 立つ
- 歩く
- 走る
理学療法士の視点でお話しすると、まだふらふらして立てない患者さんが「走りたい!」と言っても、絶対に止めます。走るための筋力やバランス感覚(基礎)がない状態で走ろうとすれば、転倒して骨折するのがオチだからです。
これは勉強でも仕事でも同じです。 「掛け算」ができないのに「因数分解」を解こうとしたり、 「部下の気持ち」がわからないのに「リーダーシップ論」を語ったりしても、うまくいきません。
最短ルートは「無知」を認めること
では、どうすれば確実に成長できるのでしょうか? コヴィー博士は、**「自分が知らないということを認める」**ことから全ては始まると説きます。
成長と発達の自然のプロセスで近道をしようとしたらどうなるだろうか。
近道をしようとする心理の裏には、「できない自分を見たくない」「恥をかきたくない」というプライドがあります。 しかし、このプライドこそが成長の最大のブレーキです。
「私は初心者です。やり方を教えてください」 「この部分がわかりません」
こう言える勇気を持つこと。 一見遠回りに見えますが、一段一段階段を登ることこそが、結果として最も早く「上級者」になれる唯一の方法なのです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 成長のプロセスに「近道」や「飛び級」は存在しない。
- 実力がないのに上級者のフリ(見栄)をしても、結果は出ず、恥をかくだけ。
- ポジティブ思考だけでは技術不足は補えない。今の自分のレベルを認めることが成長の第一歩。
Next Action:現在地を確認しよう
今日のアクションプランは、**「自分は今、どの段階にいるか?」**を冷静に見つめ直すことです。
仕事でも趣味でも、「カッコつけようとして無理をしている部分」はありませんか? もしあれば、勇気を出してレベルを落とし、基礎練習に戻ってみましょう。
正しい成長のステップや、自分を偽らずに生きるための指針を学びたい方は、**『7つの習慣』**が最適なガイドブックになります。 「急がば回れ」の本当の意味を、この本は教えてくれます。
