「賃上げ」待ちでは救われない。経済回復の唯一の「起点」
経済版「鶏が先か卵が先か」の罠
「鶏が先か、卵が先か」という有名なパラドックスがある。これはしばしば、経済循環の話に例えられる。庶民に給料が入らなければ買い物はできず、買い物がなければ企業の売上は増えない。売上がなければ給料も払えない。一体、景気回復のスイッチはどこにあるのか、という議論である。
政府や多くの経済団体は、「賃上げこそが始まりだ」と声を大にする。「30年ぶりの賃上げ実現」などと成果を強調するが、果たして現実はそう単純だろうか。確かに日本企業の内部留保は600兆円とも言われるが、先行きの見えない不況下で、虎の子の貯蓄を大放出する企業がどれほどあるだろうか。結局、景気が良くならなければ賃上げはできず、賃上げがなければ景気は良くならないという「無限ループ」に陥っているのが現状である。
「お金の起点」を見落とした議論
実は、この無限ループには明確な出口がある。議論が堂々巡りになるのは、お金を生み出す「政府」と「日本銀行」の存在がすっぽりと抜け落ちているからだ。そもそも現代のお金は、民間同士のやり取りで自然発生するものではなく、日本銀行がゼロから作り出すものである。政府が予算を執行し、市場に通貨を供給する。こここそが、経済循環の真の「起点」なのだ。
そして、市場を巡ったお金の一部を税金として回収する。回収されたお金は消滅し、ここが「終着点」となる。つまり、政府支出によってお金は生まれ、徴税によって消える。この仕組みを理解すれば、税収不足を理由に支出を控えることがいかに本末転倒かが見えてくるはずだ。
答えは「積極財政」と「減税」にある
民間だけでお金を回そうとしても限界がある。根本的な解決策は、通貨の発行元である政府が動くことだ。具体的には、政府がお金を市場に大量に供給し、回収する税金を減らすこと。すなわち「積極財政」と「減税」である。企業に「賃上げを頑張れ」と精神論を説くのではなく、国全体のお金の総量を増やし、企業も個人も自然とお金を使える環境を整えることこそが、政治の役割といえる。
賢明な選択が日本を変える
景気回復へのロードマップは、実はすでに明確に見えている。あとは、これを実行する決断力があるかどうかだ。積極財政と減税を確信を持って断行できる政治家が増えれば、日本経済は本来の成長軌道を取り戻せるだろう。
これからの選挙は、日本の命運を分ける決戦となる。「財源がない」「増税が必要だ」と繰り返す古い常識に囚われた政治家には、静かに退場願おう。我々国民が正しい貨幣観を持ち、本当に国益を考える代表者を見極めること。それこそが、日本を豊かな社会へと変える最初の一歩となるのである。
