パラダイムシフトとは?コヴィー博士に学ぶ「世界が変わる」見方の技術
「なぜ、あの人は私の気持ちをわかってくれないんだろう?」 「どうして自分だけが、こんなに辛い目に遭うんだろう?」
職場や家庭、あるいはリハビリの現場でも、こういった**「行き詰まり感」**でお悩みではありませんか?
実は、その苦しみの原因は、目の前の出来事そのものではなく、あなたが無意識にかけている**「心のメガネ(レンズ)」**にあるかもしれません。
理学療法士として多くの患者さんと接する中で痛感することがあります。それは、「同じリハビリメニューでも、どう捉えるかで回復のスピードが劇的に変わる」ということです。
この記事では、世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士の言葉をベースに、人生を好転させる「ものの見方(パラダイム)」の秘密について解説します。
結論から言うと、外の世界を変えようと必死になる前に、自分のレンズをほんの少し調整するだけで、世界は驚くほど優しく変化します。
「何を見るか」より「どのレンズで見るか」がすべて
スティーブン・R・コヴィー博士は、私たちの内面について、次のような非常に示唆に富んだ言葉を残しています。
ものの見方が人の内面の深いところで作用している。要するに、何を見るかというよりも、どのようなレンズ(パラダイム)を通して見ているかが問題であり、そのレンズこそが一人ひとりの世界観をつくっているのである。
少し難しい言葉ですね。これを小学生でもわかるように例えてみましょう。
世界は「色付きメガネ」越しに見えている
想像してみてください。あなたが**「青いレンズのサングラス」**をかけているとします。 当然、目の前の景色はすべて青っぽく見えますよね。
- 白いご飯も、青く見える。
- 赤いリンゴも、紫っぽく見える。
ここで「ご飯が青い!おかしい!」と叫んで、ご飯(対象物)を一生懸命洗っても、色は変わりません。 原因はご飯ではなく、あなたが掛けているサングラス(レンズ)にあるからです。
コヴィー博士が言う「パラダイム」とは、まさにこの**「無意識にかけている色付きメガネ」**のことです。私たちは誰しも、過去の経験や教育によって作られた独自のレンズ越しに世界を見ています。
事実は一つでも、解釈は無限にある
この「レンズ」の恐ろしいところは、自分ではレンズをかけていることに気づきにくい点です。
例えば、私の専門であるリハビリの現場でもよくある話です。 「全治3ヶ月の骨折」という事実は一つですが、患者さんのレンズによって見え方は真逆になります。
- Aさん(悲観的なレンズ): 「最悪だ。3ヶ月も動けないなんて、もう人生終わりだ」
- Bさん(肯定的なレンズ): 「3ヶ月か。忙しすぎて休めなかったから、体を治しながら資格の勉強をするチャンスかもしれない」
Aさんは絶望を感じ、Bさんは希望を感じています。 起きた出来事は全く同じなのに、レンズの違いだけで、その後の人生の質(QOL)が大きく変わってしまうのです。
政治や経済のニュースも同じです。「増税」というニュースを見て、「生活が苦しくなる」と嘆くか、「資産防衛を学ぶきっかけ」と捉えるか。 すべてはあなたのレンズ次第なのです。
「正しさ」を疑う勇気を持つ
多くの人間関係のトラブルは、お互いが**「自分のレンズこそが透明(正しい)だ」**と信じ込んでいることから生まれます。
「普通、こうするでしょ?」 「常識的に考えておかしい」
もし会話の中でこの言葉が出そうになったら、一度立ち止まってみてください。 それは、「私の色のレンズで見たらこう見える」と言っているに過ぎないのかもしれません。
コヴィー博士の教えは、「自分も偏ったレンズをかけているかもしれない」と自覚することから始まります。 これを「パラダイム・シフト(見方の転換)」と呼びます。
相手のレンズを借りて見てみる。あるいは、自分のレンズを拭いてみる。 そうすることで、今まで「敵」だと思っていた人が「協力者」に見えたり、「壁」だと思っていたものが「扉」に見えてきたりするのです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントをまとめます。
- 世界の見え方は、対象物ではなく「自分のレンズ(パラダイム)」で決まる。
- 同じ事実でも、レンズが違えば「絶望」にも「チャンス」にもなる。
- 「自分のレンズは偏っているかもしれない」と疑うことが、悩み解決の第一歩。
今の現状に行き詰まりを感じているなら、外の世界や他人を変えようとする努力を一度止めてみましょう。 その代わりに、自分のレンズを点検してみてください。
Next Action:今日からできること
より深くこの概念を理解し、人生の操縦桿を自分の手に取り戻したい方は、コヴィー博士の名著**『7つの習慣』**を手に取ることを強くおすすめします。
特に「第一の習慣:主体的である」の部分を読むだけでも、仕事や人間関係のストレスが激減するはずです。
もし本を読む時間が取れない場合は、今日一日、イラッとした瞬間に**「今、自分はどんな色のメガネでこの出来事を見ているんだろう?」**と自問する癖をつけてみてください。それだけで、感情の波に飲まれなくなりますよ。
