厳しくすると反発され、優しくするとナメられる…この無限ループから抜け出す方法
「昨日は子供を厳しく叱りすぎてしまった。今日は優しくしてあげよう」 「部下がたるんでいるから締め付けよう。…あ、でも厳しくしすぎて空気が悪いな、やっぱり緩めよう」
経営者、管理職、そして親である皆さん。 日々の生活の中で、**「鬼のような厳しさ」と「仏のような甘さ」**の間を行ったり来たりして、ヘトヘトに疲れていませんか?
自分では「バランスを取っている」つもりでも、周りから見れば「気分屋」に映り、信頼を失っているかもしれません。
この記事では、世界的名著『7つの習慣』で指摘されている、多くのリーダーや親が陥る**「魔の振り子」**について解説します。
結論から言うと、厳しさと甘さを交互に繰り返しているうちは、状況は一向に良くなりません。 なぜなら、それはどちらも「間違ったアプローチ」だからです。
その理由と、振り子を止めるための解決策を見ていきましょう。
多くの人がハマる「Win-Lose」の振り子運動
コヴィー博士は、人間関係がうまくいかない原因の多くが、以下の2つの状態を**「振り子のように行ったり来たりしている」**ことにあると指摘します。
- Win-Lose(自分勝ち・相手負け):権力を使い、高圧的に従わせる。「オレの言うことを聞け!」
- Lose-Win(自分負け・相手勝ち):波風を立てないよう、相手の言いなりになる。「まあ、いいよいいよ」
典型的な「失敗のサイクル」
この振り子は、次のような悪循環で動きます。
- スタート(Lose-Win) 最初は「いい人」でいようとして、部下や子供の自由にさせます。
- 混乱発生 しかし、規律がなくなり、秩序が乱れ、成果が出なくなります。「なんだこの体たらくは!」と我慢の限界が来ます。
- 急変(Win-Loseへ) 「いい加減にしろ!」と爆発。厳しく管理し、怒鳴りつけ、力でねじ伏せます。一時的に秩序は回復します。
- 罪悪感(Lose-Winへ戻る) しかし、相手が萎縮したり反発したりするのを見て、「言い過ぎたかな…」「嫌われたくないな」と良心が痛みます。 そしてまた、「これからは優しくしよう」と手綱を緩めます。
→ そして1に戻る。
いかがでしょうか。心当たりはありませんか? この「多重人格」のような態度の変化こそが、相手を混乱させ、「あの人は信用できない」と思わせてしまう最大の原因なのです。
「アメとムチ」では信頼は育たない
「厳しさ(ムチ)」と「甘さ(アメ)」を使い分けることがマネジメントだと思っている人がいますが、これは大きな間違いです。
コヴィー博士の指摘する通り、これは**「自分本位な感情のブレ」**に過ぎません。
- Win-Lose(厳格):自分のイライラを解消したいだけ。
- Lose-Win(甘やかし):自分の罪悪感を消したいだけ。
どちらも、相手の成長や成功(Win)を本気で考えているわけではないのです。 だから、部下や子供は敏感にそれを感じ取り、「どうせまた機嫌が悪くなるんでしょ」と冷めた目で見るようになります。
振り子を止める「第3の道」とは?
では、どうすればこの疲れる振り子運動を止められるのでしょうか。 それは、どちらか一方を選ぶのではなく、全く別の次元の答え**「Win-Win(自分も勝ち、相手も勝つ)」**を目指すことです。
- 「オレに従え(Win-Lose)」でもなく、
- 「好きにしていいよ(Lose-Win)」でもなく、
- **「二人が納得できるルールを一緒に作ろう(Win-Win)」**という姿勢です。
「ここまでは自由にしていい。でも、ここを越えたら責任を取ってもらう。このルールで合意できるかな?」
このように、最初からお互いが納得する「合意」形成を行えば、怒鳴る必要も、後で罪悪感を持って甘やかす必要もなくなります。 一貫性のあるリーダーや親とは、この「Win-Winの合意」を守り続ける人のことなのです。
まとめ・アクションプラン
感情に任せた「厳しさ」と「甘さ」の往復は、今日で終わりにしましょう。 今回のポイントは以下の3点です。
- 多くのリーダーや親は、高圧的な態度(Win-Lose)と甘やかし(Lose-Win)の間を振り子のように揺れ動いている。
- この態度のブレは、相手を混乱させ、信頼関係を破壊する最大の原因になる。
- 解決策は、アメとムチの使い分けではなく、双方が納得するルールを作る「Win-Win」のアプローチである。
Next Action
もし次に、「言うことを聞かない相手」にイライラして怒鳴りたくなったり(Win-Lose)、逆に面倒で見て見ぬふりをしたくなったり(Lose-Win)したら、深呼吸をしてこう切り出してみてください。
「今の状況は、私にとってもあなたにとっても良くないと思う。お互いが気分よく過ごせるための解決策を、一度話し合わない?」
これが、不毛な振り子を止め、本当の信頼関係を築くための第一歩です。 「Win-Win」の具体的な作り方については、『7つの習慣』の第4の習慣に詳しく書かれています。人間関係のストレスをゼロにしたい方は必読です。
