惜福の人ほど福に出会う｜幸田露伴『努力論』に学ぶ“運を育てる生き方”

「惜福」とは何か──幸運を大切にする生き方

幸田露伴は『努力論』の中で、
人が“福（幸運）”とどう付き合うかによって、人生が大きく変わると説いています。

そして次のように述べています。

惜福の工夫のある人は不思議に福に出会う。
その反対に、惜福の工夫のない人は不思議に福に出会わないものだ。

つまり、**幸運を引き寄せる人とは「福を惜しむ人」**である、ということです。

ここでいう「惜福（せきふく）」とは、
福をケチることではなく、
福を浪費せず、大切に扱う心の姿勢を指します。

なぜ「惜福の人」ほど福に出会うのか

露伴が言うように、「惜福の工夫」がある人には不思議と良いことが続きます。
一方で、運を使い切るような人は、なぜか不運を呼び寄せてしまう。
それはいったいなぜでしょうか？

理由はシンプルです。

惜福の人は、感謝と節度を持って幸運を扱うからです。

幸運を手にしても浮かれず、
「ありがたい」「次に活かそう」と考える。

その謙虚さが人を惹きつけ、信頼を生み、
結果として次の福を引き寄せる。

つまり、**惜福とは“幸運を循環させる生き方”**なのです。

「惜福の工夫」がない人が、福に恵まれない理由

一方で、「惜福の工夫がない人」とはどんな人でしょうか。
露伴の言葉を現代に置き換えると、
以下のようなタイプにあたります。

• 幸運を「自分の実力」と勘違いして傲慢になる人
• 成功しても感謝を忘れ、他人を見下す人
• 手に入れた福をすぐに浪費してしまう人

こうした人は、せっかくの運を「使い切る」生き方をしてしまうため、
次のチャンスを呼び込めなくなるのです。

運とは、流れるエネルギーのようなもの。
それを独り占めしたり、浪費したりすると、流れが止まってしまいます。

露伴はそのことを、「惜福のない人は福に出会わない」と見事に言い表しています。

惜福を実践する3つの方法

では、どうすれば私たちは露伴の言う“惜福の人”になれるのでしょうか？
ここでは、現代でも実践できる3つの「惜福の工夫」を紹介します。

① 感謝を“言葉”にする

幸運を感じたとき、心の中で感謝するだけでなく、
「ありがとう」を口に出して伝えること。
言葉にすることで、自分の中にも周囲にも“福の循環”が生まれます。

② 幸運を「共有」する

自分に訪れた幸せを、他の人にも分け与える。
たとえば、成果を仲間と喜び合う、知識をシェアする、感謝を伝える──
これも立派な惜福の実践です。

③ 幸運のときほど「控えめに生きる」

露伴は“調子に乗るな”という教えも重ねて説いています。
順調なときこそ、冷静に、慎ましく。
その自制心が、福を長持ちさせ、次の運を呼び寄せるのです。

「惜福」は古くて新しい成功哲学

露伴の「惜福論」は、現代の心理学や成功哲学にも通じています。
たとえば、ビジネスや投資の世界では、
「運を使い切らない」「リスクを抑えて次に備える」ことが成功の鉄則です。

また、心理学的にも「感謝を持つ人」は幸福感が高く、
周囲から信頼を得やすいことがわかっています。

つまり、惜福とは“持続可能な幸福”を築く方法論でもあるのです。

福を呼ぶ人は、福を大切にする人

露伴が最後に伝えたかったのは、
“運は偶然ではなく、扱い方で決まる”という真理です。

惜福の工夫のある人は不思議に福に出会う。

これは単なる経験則ではなく、
人生を好転させる「人間の法則」です。

福を粗末に扱えば、福は離れていく。
福を大切にすれば、また新しい福がやってくる。

だからこそ、幸運を得たときほど、
控えめに、感謝と慎みを忘れずに生きたいものです。

まとめ｜福を惜しむ人こそ、真に“運の良い人”

幸田露伴『努力論』の「惜福の人ほど福に出会う」は、
単なる運の話ではなく、“人の生き方”そのものを示しています。

福を惜しむ人にこそ、福は重なり、人生は豊かに実る。

それは、謙虚さ・節度・感謝という、
普遍的な価値観の中に宿る“運の法則”です。

幸運を引き寄せたいなら、まず「福を大切に扱う人」になりましょう。
そのとき、あなたの人生には不思議なほど良い流れが訪れるはずです。

TAKA

理学療法士/ビール

YouTubeContact

理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。