なぜあの人と話が通じないのか?「見えている世界」の違いを埋める唯一の方法
職場の同僚や家族に対して、「普通、ここまでやって当たり前でしょ?」「なんでこんな常識が通じないの?」とイライラしてしまうことはありませんか?
自分は「事実」を見て、正しい判断をしているつもりなのに、なぜか相手と噛み合わない。
実は、スティーブン・R・コヴィーは、その原因をズバリこう指摘しています。 「私たちは世界を『あるがまま』に見ているのではなく、『自分あるがまま(自分の思い込み)』で見ているだけだ」
この記事では、私たちの態度や行動を無意識のうちに支配している「思い込み(パラダイム)」の正体について解説します。
理学療法士として多くの患者さんを診てきましたが、「自分はもう治らない」という“思い込み”が、実際の体の動きまで制限してしまうケースは多々あります。
この記事を読めば、あなたのストレスの原因が「相手」ではなく「自分の色メガネ」にあったことに気づき、肩の荷がスッと降りる感覚を味わえるはずです。
「普通は〇〇だ」という危険な罠
まずはコヴィー博士の言葉を見てみましょう。
私たちはただ単純に、物事はこうなのだ、こうあるべきなのだと思い込んでいるだけなのである。私たちの態度や行動は、こうした思い込みから生まれる。
私たちは普段、自分の見ている世界が「客観的な事実」だと信じて疑いません。しかし、実際には脳内で**「私のルールブック(思い込み)」**を通した解釈を見ているに過ぎないのです。
世界は「解釈」でできている
例えば、「雨が降っている」という事実があるとします。
- 農家の人: 「恵みの雨だ!(喜び)」→ 畑を見に行く行動へ
- ピクニック予定の人: 「最悪の天気だ!(怒り)」→ ふて寝する行動へ
事実は同じ「雨」なのに、持っている「思い込み(前提)」が違うだけで、生まれる感情も行動も正反対になります。 つまり、私たちを動かしているのは事実そのものではなく、**「それをどう解釈したか」**という思い込みなのです。
人間関係がこじれる「こうあるべき」の呪い
特に厄介なのが、「こうあるべきなのだ(Should)」という思い込みです。
- 「部下は上司より早く来るべきだ」
- 「妻は夫を立てるべきだ」
- 「政治家は清廉潔白であるべきだ」
この「べき」というレンズを強く持っていると、そこから外れた相手を即座に「悪」や「非常識」と認定してしまいます。 これが、終わりのない人間関係トラブルの正体です。
リハビリ現場で見る「思い込み」の力
医療の現場でも、この「思い込み」の力は絶大です。
検査ではどこも悪くないのに、「私の腰はボロボロだ」と強く思い込んでいる患者さんは、無意識のうちに痛そうな歩き方(行動)をします。逆に、「私はまだ歩ける!」と前向きな思い込みを持つ人は、医学的な限界を超えて回復することがあります。
私たちの行動は、100%「自分がどう信じているか」という根っこの部分に支配されているのです。
思い込みのメガネを外すには?
では、どうすればこの頑固な「思い込み」から自由になれるのでしょうか? 大切なのは、自分を疑う勇気を持つことです。
- 「これは事実か? 意見か?」と問う 「あの人は冷たい」は事実ではなく、あなたの意見(解釈)です。事実は「挨拶の声が小さかった」だけかもしれません。
- 「自分には色メガネがかかっている」と自覚する 「私は正しい」ではなく、「私はこういう偏った見方をしているかもしれない」と一歩引いて考えるだけで、怒りや焦りは驚くほど消えていきます。
まとめ・アクションプラン
今回の記事の要点をまとめます。
- 私たちは世界を客観的に見ているのではなく、「思い込み」というフィルターを通して見ている。
- 「こうあるべき」という思い込みが強いほど、他人へのイライラや誤った行動が生まれる。
- 自分の見方が「絶対的な真実」ではないと気づくことが、問題解決の第一歩。
Next Action:自分の「口癖」をチェックしよう
明日からの生活で、自分が**「普通は~」「常識的に考えて~」「~すべき」**という言葉を使っていないかチェックしてみてください。
もし使っていたら、それは「思い込みのレンズ」が曇っているサインです。 「あ、今自分は自分の常識を相手に押し付けていたな」と気づくだけで、人間関係は劇的にスムーズになります。
私たちの認識がいかに歪んでいるか、そしてそれをどう正せばよいかを深く知りたい方は、**『7つの習慣』**を熟読することをお勧めします。 この本は、あなたの脳にインストールされている「古いOS(思い込み)」を書き換え、新しい世界を見せてくれる最高の手引書です。
