「感謝できる人が、人生を楽しめる人になる」──サミュエル・ジョンソンに学ぶ感謝の本質
私たちは日常の中で、「感謝の気持ちを持ちなさい」とよく言われます。
けれども、現実には「ありがとう」と素直に言えなかったり、
人の厚意を当たり前のように受け取ってしまったりすることも少なくありません。
そんな私たちに、イギリスの批評家サミュエル・ジョンソンは鋭い言葉を残しています。
■ 「感謝の気持ちは、教養の産物である」
ジョンソンはこう語りました。
「感謝の気持ちは素晴らしい教養の産物であり、
低俗な人たちにそれを見いだすことはできない。」
つまり、感謝とは“知識や礼儀”を超えた、心の成熟度を示すものだということです。
教養とは、単に本を読むことや知識を増やすことではありません。
他人の立場を思いやり、善意を理解し、受けた恩に心から感謝できる。
それこそが、真の意味での教養です。
■ 「人に感謝を期待しすぎない」ことも教養の一つ
ジョンソンはさらに、こうも述べています。
「普通の人に感謝を期待すると失望することになる。
ほとんどの人は基本的に恩知らずで薄情なのだと思っておけば間違いない。」
一見、冷たく聞こえる言葉ですが、これは人間を見つめたうえでの“現実的な知恵”です。
私たちはつい、「これだけしてあげたのだから感謝してほしい」と期待してしまいます。
しかし、その期待が叶わないと、裏切られたような気持ちになり、心が疲れてしまう。
ジョンソンの言葉は、そんな私たちにこう教えてくれます。
「感謝を求めるより、感謝できる人であれ。」
他人の反応に左右されず、自分から“ありがとう”を言える人こそ、心が豊かな人なのです。
■ 感謝できる人ほど、ストレスが少ない
心理学の研究でも、「感謝の感情」は幸福度と深く関係していることが分かっています。
感謝する人は、そうでない人に比べてストレスが少なく、
人間関係も良好で、うつや不安の発症率も低いといわれています。
これは、「不足」よりも「満足」に目を向ける習慣があるからです。
- 持っていないものを数える人は、不安を感じやすい。
- 持っているものを数える人は、安らぎを感じやすい。
感謝の習慣は、心を「欠乏」から「充足」へと切り替えるスイッチなのです。
■ 感謝を“育てる”3つの習慣
感謝の気持ちは、自然に湧いてくるものではなく、意識的に育てるものです。
ここでは、日常に取り入れやすい3つの方法を紹介します。
- 一日の終わりに「今日のありがとう」を書き出す
寝る前に、感謝できることを3つ書く。
「天気が良かった」「コーヒーがおいしかった」──どんな小さなことでも構いません。 - 誰かに感謝の言葉を伝える
メールでも口頭でもOK。
「ありがとう」を伝えるだけで、人間関係も自分の気分も温かくなります。 - 「不満」を感じたときこそ、感謝を探す
たとえば、仕事で忙しいときは「任せてもらえることに感謝」。
家事で疲れたときは「家族がいるからこその忙しさ」と捉えてみる。
視点を少し変えるだけで、同じ出来事でも心の感じ方がまったく違ってきます。
■ 感謝は「心の教養」
ジョンソンの言葉を借りれば、感謝とは「高い精神文化のあらわれ」です。
どんなに学歴があっても、どんなに成功していても、
感謝のない人は“人間としての品格”を欠いてしまいます。
一方で、日常の中で素直に「ありがとう」と言える人は、
周りから愛され、人生を穏やかに楽しめる人です。
感謝とは、謙虚さと尊敬の心の融合。
そして、それを持つことが「心の豊かさ」の証なのです。
■ まとめ:「感謝できる人」が最も幸せな人
- 感謝の気持ちは、心の成熟から生まれる
- 人に感謝を期待せず、自分が感謝できる人であること
- 感謝の習慣が、心の安定と幸福を生む
デール・カーネギーが『道は開ける』でこの話を紹介したのは、
“心配や不満から自由になる最も確かな方法”が「感謝」だからです。
サミュエル・ジョンソンの言葉に従えば、
感謝とは最高の教養であり、人生を明るく照らす光。
今日という日にも、ひとつ「ありがとう」を見つけてみませんか。
